日本で唯一のカレー専門コンサルティング会社「株式会社カレー研究所」(代表:井上岳久/東京都渋谷区)が、2023年の“カレーのトレンド”を発表しました。今年、大人気となるカレーと、その理由、そして大注目のカレー店やカレー商品を紹介します。
その前に・・・・
みなさんご承知のとおり、カレーは、“国民食”といわれ、家庭でも、学校給食でも、社員食堂でも、レストランでも長年にわたって定番メニューとして君臨しています。初めて入る飲食店で料理の内容がよく分からないとき、安心感のある「カレー」を選ぶ人も少なくないでしょう。
カレーは、そばやうどん、ラーメン、パン、スナック菓子など、数えきれないほど多くの食べ物に使われています。こんな食べ物、ほかになかなかないですよね。
そんなふうに今でも十分、日本全国に広まっているカレーですが、さらなるカレー文化の普及と発展を目指して尽力しているのが、株式会社カレー総合研究所です。カレーのプロの養成機関「カレー大學・カレー大学院」も開講し、毎年、数多くの人材をカレー業界に輩出しています。
同社では、今どんなカレーが人気なのか、そして、これからどんなカレーが流行るのか、調査・分析を続けています。とにかく朝から晩までカレーのことを考えている会社です。
カレーに関する情報は、日々、幅広いネットワークから収集。それは、カレーメーカーからカレー専門店、カレー商品販売店、ネットショップなど、なんと1,000を超える企業や関係者に及んでいます。もちろん、カレー大學を卒業し、カレー業界で活躍している人たちからもカレーの最新情報が届けられています。
少々前置きが長くなりましたが、そんなカレー総合研究所が発表した、2023年のカレーのトレンドは、前述のとおり、豊富なデータに基づいた精度の高い予測です。さて、どんなカレーなのでしょうか。
今年、大人気となるカレーは?
ズバリ!「スパイス欧風カレー」です!
2023年のカレーのトレンド、それは、欧風カレーの進化版「スパイス欧風カレー」です!
といわれてもピンとこない人も多いかもしれませんね。スパイス欧風カレーとは、一体どんなカレーなのか、順を追って説明していきます。
まず「欧風カレー」とは、今から150年ほど前にヨーロッパから伝わったカレーの総称です。ビーフやポーク、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどを具材に、カレー粉やルウ等で仕上げる、皆さん、お馴染みのカレーです。
これが長い年月を重ねるうち、どんどん進化していきます。
「何にでも合う」という欧風カレーの特徴を生かして、カレー店が独自の味を追求したり、家庭で定番以外の野菜を具材にしてみたりと、柔軟な発想で新しい欧風カレーが数多く誕生しました。皆さんにも、“我が家のレシピ”があるのでは。
こうして、さまざまに進化した欧風カレーは、プレミアム系、キーマ系、魚介系などいくつかのカテゴリーに分けられたうえで、「新欧風カレー」の総称で、2022年のトレンドとなりました。
この新欧風カレーのカテゴリーの中にあったのが「スパイス系」です。
昨年は、新欧風カレーの一つとして人気を博したスパイス系が、この1年、群を抜いて大きな広がりを見せ、「スパイス欧風カレー」として確立。今年のトレンドになるほど進化したというわけです。
一体、どんなカレーなの?
とにかく、いいとこ取りのカレーなんです!
スパイス欧風カレーは、その名のとおり、欧風カレーとスパイス系が融合したカレーです。
簡単に二つのカレーを「融合」すると言っても、欧風カレーとスパイス系カレーは、生まれもベースも決め手も違います。
欧風カレーはヨーロッパ発祥、スパイス系カレーはご存知の通り、インド生まれ。また欧風カレーのベースはカレー粉やカレールウですが、スパイス系カレーでは各種スパイスを組み合わせて味を調えます。
味の違いもはっきりしています。欧風カレーは旨味・コク・甘味の三拍子がそろっていて、子どもでも食べやすいのが基本。一方、スパイス系カレーは言うまでもなくスパイシーです。
この二つをどう融合させるのかが、スパイス欧風カレーを作る際の重要なポイント。なぜなら、欧風カレーに合わせるスパイスの種類や組み合わせ、量などを変えれば、バリエーションは無限に広がるからです。スパイスをパウダーにするか、ホール(原形)のままで使うか、また調理方法によっても出来上がりは大きく違ってきます。
<スパイス欧風カレーのパターンは、大きく分けて3つ!>
〇欧風カレーをベースにスパイス感を強調したカレー
〇スパイス系カレーの要素を取り入れた欧風カレー
〇スパイスカレーの欧風カレーバージョン
スパイシーさが強いか、「欧風カレー」が全面に出ているか、あるいは両者が程よい感じでコラボしているか、といったところでしょうか。
さらに細かく見ていくと、次の7つのタイプに分けられます。
<スパイス欧風カレーの体系>
〇スパイス増量型~通常の倍以上のスパイスを使用。
とにかく、スパイスをたっぷり使うタイプです。
〇特殊スパイス配合型~強いアクセントになる特殊なスパイスを使用。
あまり一般的ではないスパイスも使います。
〇スパイス多種類型~20~30種類と数多くのスパイスを使用。
多種類のスパイスを良い感じに組み合わせます。
〇スパイス調理技法型~直火焼きや焙煎したスパイスを使用。
そのまま使うのではなく、ひと手間かけることでオリジナル感を出しています。
〇スパイスそのまま型~スパイスを原形のまま使用。
粒のまま使用すると、粉状とはまた異なる風味があります。
〇できたて型~一晩置いたりせず、できたてを即提供。
提供の仕方にこだわっているタイプです。
〇激辛型~刺激とスパイス感を追求したタイプ。
辛い物が好きな人たちにリピートされています。
〇独自ブランドカレーパウダー型~スパイスをブレンドしたオリジナルのカレーパウダーを使用。
独自の製法がポイントです。
〇食感型~ツブツブ食感など口当たりを重視したタイプ。
味はもちろん、口に入れたときの感覚やのど越しも大切にしています。
<スパイス欧風カレーの体系>
〇スパイス増量型~通常の倍以上のスパイスを使用。とにかく、スパイスをたっぷり使うタイプです。
〇特殊スパイス配合型~強いアクセントになる特殊なスパイスを使用。あまり一般的ではないスパイスも使います。
〇スパイス多種類型~20~30種類と数多くのスパイスを使用。多種類のスパイスを良い感じに組み合わせます。
〇スパイス調理技法型~直火焼きや焙煎したスパイスを使用。そのまま使うのではなく、ひと手間かけることでオリジナル感を出しています。
〇スパイスそのまま型~スパイスを原形のまま使用。粒のまま使用すると、粉状とはまた異なる風味があります。
〇できたて型~一晩置いたりせず、できたてを即提供。提供の仕方にこだわっているタイプです。
〇激辛型~刺激とスパイス感を追求したタイプ。辛い物が好きな人たちにリピートされています。
〇独自ブランドカレーパウダー型~スパイスをブレンドしたオリジナルのカレーパウダーを使用。独自の製法がポイントです。
〇食感型~ツブツブ食感など口当たりを重視したタイプ。味はもちろん、口に入れたときの感覚やのど越しも大切にしています。
いろいろなパターンや味がある「スパイス欧風カレー」。ただ一つ言えるのは、欧風カレーのマイルドさと、スパイス独自の風味を兼ね備えた“いいとこ取り”のカレーだということです。
どうしてスパイス欧風カレーがブームになると言えるの?
それには、しっかりとした理由があります!
「2023年のカレーのトレンドは、スパイス欧風カレー!」と自信を持って言えるのには、いくつかの理由があるんです。まずは、ブームを生み出す“背景”から順を追って説明していきますね。
<ブームを生み出す背景>
背景その1 空前のスパイスブーム発生
近年、各種スパイスが人気となっています。コロナ禍の影響もあり、自宅にさまざまなスパイスをそろえ、オリジナルのカレーをつくる人も多数。飲食店では、インドカレーやスパイス系カレーなどを提供する飲食店も増え、スパイス料理は日本人にとって身近なものになりました。
背景その2 スパイス系+欧風カレーの誕生
スパイスブームによってスパイス系カレーを提供する店が増えたことで競争が激化。そんな中で、新しいカレーとしてスパイス感の強い欧風カレーが開発されました。
背景その3 欧風カレーの利点に再注目
欧風カレーの良さの一つは、カレー粉やルウを使って手軽に作れること。特に、毎日を忙しく過ごす人たちの間で、今、従来の欧風カレーが改めて注目されています。
こうしたいろいろな背景がきっかけとなって、スパイス欧風カレーのブームが巻き起こることが予測できます。
その理由は、次の3つにまとめることができます。
<ブームになる理由>
理由その1 欧風カレーの進化に期待が集まっている
再注目された欧風カレーは、2022年に「新欧風カレー」として大人気になりましたが、その勢いは衰えていません。多くの人が、新しいタイプの欧風カレーの登場を待ち望んでいます。
理由その2 コスパの良さとクオリティの高さが求められている
あらゆるものが値上げされる中、コスパの良いカレーが家庭の食卓に上がる回数が増加。マンネリ化を避けたいと考える人は、これまでとは違うクオリティのカレー、スパイス感のあるカレーを求めます。
理由その3 すでにスパイス重視の新商品が数多く販売されている
昨年から、複数のカレーメーカーがスパイスを重視した商品を次々に発売。売れ行きも上々で、今年は大ブレイクが見込まれます。
外食するならココ!
スパイス欧風カレーの名店を紹介します
スパイス欧風カレーを提供する店は、全国各地で増加中。日々、カレーのプロたちが研究を重ね、これまでになかった見た目や味のカレーが誕生しています。
ここでは、東京・神奈川エリアにあるカレー店3店と一押しメニューをご紹介。ぜひ足を運んで、この店にしかない味わいを堪能しましょう。
石垣島カレー南風~沖縄の恵みが詰まった「島豚とピパーツのカレー」
東京都港区新橋2丁目20-15 新橋駅前ビル1号館B1 新橋BAR月夜見「宮古島応援酒場」内
本州とは異なる、独特の食文化で知られる沖縄県。多種類の魚介類やフルーツ、香辛料などの食材に恵まれていて、各島には数多くの名物や特産物があります。もちろん、おいしいレストランも多々。石垣島の人気店「ビストロスマイル」もその一つです。
2022年8月、そんな同店が満を持してオープンさせたのが、スパイス欧風カレーを提供する「石垣島カレー南風(ぱいかじ)」です。聞き慣れない言葉ですが、“ぱいかじ”とは、沖縄の方言で南から吹く風のこと。場所は、東京はJR新橋駅前。昼間空いているバーのスペースを間借りして、ランチタイムのみ営業するスタイルです。
こだわりは、できる限り石垣島産の食材を使うこと。ピパーツ(島胡椒)や、カレーリーフ、長命草などは自家製です。化学調味料は一切使っていません。
「島豚とピパーツのカレー」は、石垣島の店でも提供している定番メニュー。3日間かけて仕上るこだわりのダシ(グラスドビアン)と、ピパーツを効かせた中辛カレーに、トロトロの島豚がたっぷり入っています。欧風カレーのまろやかさと、スパイス感がマッチしていて、食欲をそそられます。
ゴーヤ、紫キャベツ、ニンジンのピクルスと彩りも美しく、撮影する人も続出です。
沖縄に行かなくても、“島の幸”を存分に楽しむことができる南風のカレー。一日20食限定なので、早めの来店がおすすめです。
かれーの店うどん~高級感たっぷりの「濃厚甘口ぽーく」
東京都品川区西五反田2丁目31-5
店名だけ聞くと、カレーうどんの店?と思う人は多いかもしれませんが、実はカレー専門店。うどんのメニューは、一つもありません。多数のカレー店が集まり、カレー激戦区ともいわれている東京・五反田で、長年営業を続けていてリピーターも多い店です。
オーナーが一人で切り盛りしているため、状況によっては待ち時間が長くなる可能性もありますが、「待ってでも食べたい」の声も聞かれます。
注文の仕方など、ちょっとしたルールがあるので、事前にホームページをチェックしておくと良いでしょう。
メニューは、大きく分けて、さらっとしている「すーぷかれー」と、とろみのある「とろっとかれー」。「濃厚甘口ぽーく」は、カルダモンやクローブをたっぷり使った同店の「とろっとぽーくかれー」にチーズやワインなどを加え、リッチに仕上げられています。口当たりは、あくまでもまろやか。でも、後から辛味が追いかけてくる、絶妙な甘辛さで多くの人を引き付けています。
濃厚甘口ぽーくには、「辛口」も用意されています。こちらも試してみる価値ありです。
ご飯が無くなり次第閉店となりますが、“ご飯の予約”をすることができます。必ず食べたい場合は、電話で予約しましょう。
アジョワン~体に優しい自然派カレー「チキントマトカレー」
神奈川県横浜市都筑区中川中央1-28-21
横浜市営地下鉄センター北駅からほど近い場所にあるスパイスカレーの店。店名となっている「アジョワン」とは、すっとした香りと苦味、辛味が特徴のスパイスの名前です。食用のほか、胃腸薬として使われるなど、体調を整える効果が期待できるスパイスです。
アジョワンのカレーには、薬効のある数十種類のスパイスが独自の配合で使われています。野菜もたっぷりで、まさに体に優しいカレーです。化学調味料は、不使用です。
さらっとしていてスープカレーのような食感ですが、同店では、どれにも分類されない“オリジナルのカレー”として打ち出しています。じっくり味わってみると、一般的なスープカレーとの違いが分かるかもしれません。
カレーは、ルウとご飯が別々に提供されるスタイル。「チキントマトマレー」のルウは、アツアツの鉄鍋に入っています。中には、生のトマトがたっぷり。食べ進めるうちに、鉄鍋の熱で次第にトマトが柔らかくなり、また異なる食感や味わいを楽しむことができます。トマト好きにはたまらない一皿です。
家庭で手軽に!
主なスパイス欧風カレー商品を紹介します
外食だけでなく、自宅でもスパイス欧風カレーを味わうことができます。現在、さまざまな食品メーカーなどがスパイス欧風カレーを商品化。ここでは、数多くのレトルトカレーやルーの中から3品を厳選して紹介します。
誕生から40年!
ハウス食品株式会社「カレーマルシェ(甘口・中辛・辛口)」
1983年に発売が開始されたロングセラー「カレーマルシェ」。当時から現在にいたるまで、高級感のあるレトルトカレーとして知名度の高い商品です。
味のポイントは、バターや生クリームを加えて仕上げられたルウ。深いコクとまろやかさ、そしてスパイシーさもしっかり感じられます。
主な具材は、意外な組み合わせとも思える牛肉とマッシュルーム。柔らかく煮込まれた大き目のマッシュルームがゴロゴロと入っていて、食べ応え満点です。食感の良さも人気の秘密です。
温める方法は、湯煎または電子レンジ、どちらでもOK。特に時短を求める人たちからは、電子レンジに箱のまま入れられるという手軽さが受けています。
辛味と旨味がパワーアップ!
株式会社ウエニ貿易「マイルーティーンカレー うま激辛」
筋トレやダイエットなど、体づくりをしている人たちから熱い支持を受けているプロテインカレーのブランド「マイルーティーンカレー」。脂質や炭水化物の量がぐっと抑えられている一方、タンパク質の配合量の高さが際立っているのが最大の特徴です。
「うま激辛」のタンパク質量は、1食180g当たりなんと36.5g。レトルトカレーの中でも最大級の量が配合されています。
うま激辛というだけあって、唐辛子の辛味成分・カプサイシンの濃度は、マイルーティーンカレー(中辛)に比べて800%以上。一味唐辛子は約13倍、黒コショウは約6倍、さらに青唐辛子とハバネロもブレンドされていて、日ごろから辛いカレーを欲している人たちも納得の味わいです。発汗作用も大いに期待できます。
もちろん、具材はヘルシーなチキン。辛さとおいしさを楽しみながら、体にプラスになる、うれしいカレーです。
創業100周年記念商品!
エスビー食品株式会社「S&B 赤缶カレーパウダールウ 中辛」
1923年、エスビー食品の創業者が日本初の国産カレー粉を開発。1950年には、「S&B赤缶カレー粉」として発売されました。以来、長年にわたり根強い人気を誇っています。
1923年、エスビー食品の創業者が日本初の国産カレー粉を開発。1950年には、「S&B赤缶カレー粉」として発売されました。以来、長年にわたり根強い人気を誇っています。
「赤缶カレーパウダールウ」は、赤缶カレー粉をベースにした新商品です。30種類以上のスパイスと独自製法で作る「赤缶カレー粉」の安定の味に新しさをプラス。パウダールウならではの豊かな香りと深みのあるスパイシーさ、口当たりの良さが魅力です。
同社では、最新技術「パウダールウ製法」により、素材の旨味や甘味を最大限引き出すことに成功。主原料となっている国産牛の出汁や国産炒めタマネギのおいしさも存分に生かしています。国産素材にこだわる一方、甘味料や香料、小麦粉は不使用です。
溶けやすいこと、2皿分ずつ分けられていることなど、使いやすさの点でも注目されている商品です。