バラエティ豊かな手作りの味
「どらやき」と紺地に白で染め抜かれたのれんをくぐると、ぷっくらとしたどら焼きがケースにずらりと並んでいます。皮はこんがりキツネ色。中には餡(あん)がたっぷり包まれているのが、その丸い形から分かります。
売り場の背後はガラス張りになっていて、どら焼きの製造工程が見えます。一つ一つ丁寧に、手際良く作っていく様子に、買い物客はつい見いってしまうようです。
この店は、戸田市の障がい福祉作業所「ゆうゆう」が運営。どら焼きの製造と販売をしています。
一番人気は「小豆餡のどらやき」140円(店頭価格)。ほかに「ごまどらやき」や「カフェオレどらやき」などのユニークな製品が7〜8種類並んでいます。いちごや桜餡などの季節商品も合わせると24種類に上ります。
餡は北海道・十勝産の小豆を1日かけて炊き上げ、生地は埼玉県産の小麦粉を使用しています。
「15年ほど前の話になりますが、当初元和菓子職人から指導を受け、ホットプレートで一枚づつ焼いて販売していました」と、職員の太田健一さん。 知名度を上げるために苦労した時期もあったそうですが、味にこだわり、たゆまぬ改良を重ね、地元で広く親しまれるどら焼きに成長。今ではイオンモール北戸田の和菓子コーナーや、戸田市地域交流センター「あいパル」などでも販売されています。
パッケージデザインもすべて作業所で作成しています。イチゴのイラストをあしらった「いちごどらやき」、和風テイストを感じさせるティーセットが印象的な「アールグレイ紅茶どら焼き」など、見ていて楽しくなるようなパッケージデザインです。
同店のどら焼きファンは「焼きたて派」と「しっとり派」に分かれるそうです。
できたてのフカフカ生地に、とろりとした餡を愛する「焼きたて派」。製造から2〜3日たって生地と餡が馴染み、しっとりしたどら焼きを好む「しっとり派」。
「どちらがお好みかお試しください」と太田さん。
取材日:2021年3月17日 宮内瑞恵