バラのまち・伊奈町。かつては「伊奈村」でしたが、人口要件などを満たし、1970年に“町”へと移行しました。その3年後、野球場やキャンプ場等を備えた「伊奈町制施行記念公園」を開園。同公園の一画を彩っているのが「バラ園」です。
赤やピンク、白、黄色。色とりどりのバラで満たされる園内
「町へ移行して20年目の1990年に、バラが“町の花”に指定されたことをきっかけに、バラ園の整備に力を入れ始めました」と、伊奈町元気まちづくり課シティセールス観光係の担当者が成り立ちを説明してくれました。
現在、第1から第3まであるバラ園には、合わせて400種5000株のバラが植えられています。
担当者は「当初は第1だけでしたが、少しずつ広げていきました。総面積が約1.2ヘクタールあり、現在、埼玉県内で最も広いバラ園です」と話します。
バラの見頃は、5月上旬~6月上旬と、10月下旬~11月中旬の年2回。春は入園料(19歳以上350円)がかかりますが、秋は春に比べると花数が少なく、開花期間も短いため、無料で入園できます。また、秋は気温が低い分、比較的バラの香りを感じやすいほか、涼しさの中でゆっくり散策できるという良さもあるといいます。
ここでしか見られないオリジナルの品種も
園内には、伊奈町オリジナルのバラもあります。大きな深紅の花を咲かせる「イナローズ」、枝がつる状に伸びる「イナ姫」、そして、町制施行50年を記念し、2021年に誕生した「伊奈の月」の3種類。いずれも伊奈町のためだけに作出された品種で、このバラ園でのみ見ることができるそうです。
心に残る結婚式の会場としても利用
例年、園内では春の開花時期に、結婚式「ローズ・ウエディング」が行われます。応募者の中から抽選で選ばれた新郎新婦が親族や友人の前で結婚を誓うというもので、伊奈町の町長やマスコットキャラクター「伊奈ローズちゃん・伊奈ローズくん」も祝福に駆けつけます。
「新郎新婦や参列した方々からは『感動した』『予想以上に良い結婚式だった』といった声をお聞きしています。たまたま来園して、式の様子を見た方も温かい気持ちになっていただけるのかなと思います」と担当者。
当日、新郎新婦はバラの植樹も行います。記念になるとともに、町への親しみがより深まるようです。
間もなく、秋のバラが見頃を迎えます。「皆さんに楽しんでいただけるバラ園だと思っています。ぜひ足を運んでいただきたいです」とのこと。
記念公園内には、遊具が設置された緑豊かな広場もあります。家族とでも一人でも快適に過ごせそうです。
◆取材を終えて 取材日、秋の開花に向けて何人もの方が剪定作業を進めていました。たくさんの手間をかけて大切に育てているから、多種類のバラを美しく咲かせることができるのでしょう。見頃になったら、ぜひ再訪したいと思いました。 取材日:2021年9月7日 矢崎真弓