【朝霞】まだ使える学習用具を次へ届け、つなぐ。スクールグッズシェアリング

「スクールグッズシェアリング」という活動をご存じですか。不要になったランドセルや学習用具を必要な人につなげていく取り組みで、朝霞市リサイクルプラザ「エコネットあさか」(北朝霞駅から徒歩5分)では朝霞市在住者を対象に、月1回開催されています。会場には譲渡できるさまざまな学習用具が並べられ、自由に見て選ぶことができます。気に入ったものがあれば、譲渡の同意書にサインし、そのまま持ち帰ることが可能。予約などは不要です。

スクールグッズシェアリングの企画・運営は、市民団体「朝霞市リサイクルプラザ(エコネットあさか)企画運営協議会」。20年以上の活動歴があります。メンバー内で関心が高かった「ものを大切にすること」「資源の循環」「子どもの貧困」についてできることがないか考え、スクールグッズシェアリングが始まりました。2021年春に本格的にスタートしたばかりです。

美品が多いランドセル。子どもたちは体へのフィット感を確かめながら、好みのランドセルを自分で選んでいました

譲る人から受け継ぐ人へ、思いをつなぎ、まわっていく社会を目指す

スクールグッズシェアリングには、ランドセルやノート、鉛筆など、さまざまな学校用具がそろっています。
ランドセルは高学年になる頃にはボロボロになってしまう子もいますが、残り1~2年のために買い替えるには高価な品です。そういう子どもたちにもぜひ利用してほしいと、同協議会会長の松下まさよさんは話します。

習字用具、彫刻刀、鍵盤ハーモニカも授業で使用するために各自購入しなければなりませんが、どれもそれなりの値段がするもの。しかも学校卒業時にきれいな状態のまま捨てられることも少なくありません。
「彫刻刀は学校で一時しか使われません。どうせならここから持っていってもらう。そして不要になった時にきれいな状態であれば、またこちらに戻してもらってもいい。あげるだけではなく、次の子どもたちにつなげる循環サイクルが作れたらいいなと考えています」

SNSでの発信を始めたことで少しずつ利用者は増えていますが、まだまだ認知度が低いそう。
「まずはみなさんに知ってもらい、気軽に利用してもらえるようにしたいです」

スクールグッズシェアリングは原則毎月第3土曜14時~16時開催(イベントに応じて開催時間は変更する場合があります)。

日々の学習に必要なノートや鉛筆などは新品も多数。鍵盤ハーモニカも美品ばかりでした

譲渡される学習用具は、未使用品も多いですが、子どもたちが学校生活で使った思い入れがある品も少なくありません。
「まだきれいで十分使えるのに捨ててしまうのはもったいない。もし必要としている人がいるなら使ってもらいたい」
松下さんは、そういった人たちの気持ちも一緒につなげていきたいと語ります。

活動メンバーと松下さん(右から2人目が松下さん)。みなさんボランティアで活動しています

「ものを大事にする」意識も育てる

エコネットあさかは、廃油でつくるエコ石鹸、リサイクルガラスを使ったキャンドルホルダーづくりなど、さまざまな講座も開催。資源の再利用法や物を大事にすることが学べます。
取材時に開催されていた「おかたづけ講座」は、子どもの年齢に応じた収納法や片付けのコツを親子で学ぶという内容でした。
講座内容は、同協議会のFacebookやInstagram、朝霞市発行「広報あさか」などで告知されます。

同協議会のメンバーは、学習用具の譲渡だけでなく、「ものを大事にする」意識や方法を伝えることも大きなテーマとして考えています。大人も子どもも毎日の暮らしの中で無理なくできることを続けていく。それが、みんなが心地よく暮らしていける持続可能な社会づくりだと語ってくれました。

実は大人も習ったことがないおかたづけ。親が真剣に学ぶ姿は子どもたちには新鮮だったかも!
◆取材を終えて

鍵盤ハーモニカの購入は自治体や学校によって異なるようです。本体購入だと5000円以上、吹き口のみ購入(本体は貸し出し)なら数百円だそう。コロナ禍で感染防止のために本体購入が必須になったところもあるという情報も目にしました。
 いろいろな事情があるとしても、まだ使えるのに捨てられてしまう学習用品が多くあるという現状に胸が痛みます。学校用品こそ、まさにみんなでうまくつないでいくことが求められると強く感じた機会でした。

取材日:2021年11月20日
小林聡美