川口市にあるダイニングバー「ペルメニブティック」では、ウクライナ・ドネツク州出身のオーナー、リューダさんが出身地の家庭料理を提供しています。ボルシチやピロシキなどの代表的な東欧料理から、ロールキャベツやパプリカの肉詰めなど日本でもおなじみのメニューまで、リューダさんが生まれ育った地域の味を楽しめます。同店で提供している料理について、リューダさんにお話を伺いました。
ウクライナ料理は日本人に親しみやすい味
ウクライナで生まれたと言われている代表的な料理は、ボルシチです。ビーツとトマトが使われ、赤いスープが特徴的。リューダさんのボルシチは、柔らかくなるまで煮込んだ羊肉と、野菜がたっぷり入っています。
「ボルシチは家庭によって使う具材が違います。ビーツを使わずにトマトだけで作る家庭もありますし、肉の種類もさまざま。作り方もそれぞれです。先に油で炒めるかどうかでも、味は違ってきます。レシピが一緒でも作る人によって味が変わるのは、肉じゃがやみそ汁などの日本の家庭料理と同じですね」とリューダさん。
同店で人気があるのは、ロールキャベツ。ロールキャベツは日本人にとって安心感があるメニューなのではないかと、リューダさんは感じています。肉とキノコを煮込んだシチューのようなグリャーシ、クレープのような生地でひき肉を巻いて食べるブリニイ(ブリヌイ)など、ウクライナ料理には日本人にも親しみやすいメニューが多く見られます。水餃子のようなペルメニ(ペリメニ)は、リューダさんの出身地では欠かせない料理です。スーパーマーケットなどで手軽に手に入れられ、軽食としても人気があります。
リューダさんは1994年、17歳で来日。結婚し、日本で生活してきました。「母国の文化を知ってもらおう! 自分でできることをやってみよう」と決心し、1年前に開店しました。
「埼玉の人は親しみやすくて温かいですね。ゆくゆくは冷凍でペルメニを販売したいと思っています。たくさんの人に知っていただき、ウクライナのことをもっと身近に感じてもらえるとうれしいです」
ウクライナ料理を作ってみよう! リューダさんに教わるペルメニのレシピ
水餃子やラビオリのように、小麦粉の皮に具材を詰めたペルメニ。中の具材は、肉以外にサーモンを入れる場合もあります。特別な材料は必要なく、家庭で簡単に作れます。リューダさんにレシピを教えていただきました。
【材料】※作りやすい分量
<皮の材料>
・小麦粉(強力粉)300g+打ち粉用(50gまで)
・卵 1個
・油 大さじ1/2強
・塩 9g
・熱湯 125~130cc
<具の材料>
・ひき肉(リューダさんは鶏肉と牛肉。一般的には牛豚合いびき) 300g
・みじん切りにしたタマネギ ひき肉の1/3程度
・塩こしょう 少々
<ゆでる際の材料>
・熱湯 3リットル
・塩 10g
・ローリエ 1枚
・バター ペルメニ5個につき10g
<ソースの材料>
・サワークリーム 80~90g
・プレーンヨーグルト(無脂肪が好ましい) 大さじ1杯
・ディル(生。5mmくらいの幅に刻む。太い芯は使わない)
【作り方】
①小麦粉、卵、塩を合わせ、泡立て器で混ぜる
②熱湯に油を入れて混ぜ、冷めないうちに①に入れてさらに混ぜる ※ポイント1
③手につかなくなるまでこねる
④粗熱をとり、ラップをして冷蔵庫で30分以上ねかせる ※ポイント2
⑤打ち粉をし、麺棒で3mmほどの厚さまでのばす ※ポイント3
⑥丸い形に抜く(直径5~10cmが目安)
⑦ひき肉、タマネギと塩こしょうをしっかり混ぜる
⑧⑥で作った皮に⑦をのせて包む ※ポイント4
⑨沸かしたお湯に塩、ローリエを入れ、⑧をゆでる(4~4分半くらい)
⑩バターを入れたボウルに、ゆであがった⑨を入れてあえる
⑪サワークリームにプレーンヨーグルトを加え、泡立て器でしっかり混ぜる
⑫⑩を皿に盛りつけ、刻んだディルと⑪をかけて完成
【ポイント】
1:やけどに気をつけましょう。
2:冷蔵庫でねかせず、そのまま冷凍保存もできます。早めに使い切ってください。
3:打ち粉が多すぎると、生地がかたくなってしまいます。
4:皮に水をつけず、皮の縁に具材の油がつかないよう気をつけてください。包み方は自由です。
◆取材を終えて 今回、初めてウクライナ料理を食べました。酸味が強いイメージだったのですが、リューダさんの料理はほっとする味が多く、まろやかな酸味で食べやすく感じました。ゆでたソバの実にかけて食べるグリャーシが特に気に入りました。 作り方を教えていただいたペルメニを家で作ってみました。生地が縮みやすく、包むのに苦労しましたが、おいしくできたと思います。子どもたちから大好評で、またひとつわが家の味が増えました。他の料理にも挑戦してみたいです。 取材日:2023年2月5日、15日 塚大あいみ