【川越】「本物」に触れてもらいたい 選りすぐりの絵本と喫茶のお店

ほんとうに手渡したい絵本だけがそろう絵本コーナー

壁一面緑に囲まれた、まるで絵本から飛び出したようなたたずまいをくぐると、たくさんの絵本と、ほっとする空間が広がっています。絵本カフェ「イングリッシュ・ブルーベル」は、2005年埼玉県川越市にオープンしました。

絵本カフェ「イングリッシュ・ブルーベル」

店内で販売されている、店主自ら厳選した約1300冊の絵本や関連グッズは、「“子どもの気持ちが満たされるもの”にこだわってそろえています」と語ってくれたのは、元図書館員である、同店店主の片居木さん。

店内や2階スペースでは、絵本の素晴らしさに触れてもらおうと、読み聞かせ、ストーリーテリングの講座、大学教授による文学講座などのイベントを開催しています(コロナ禍の影響により現在は休止)。

片居木さんは、「本当に手渡したい」良質な本だけをそろえています。店で販売することによって、伝えていきたい本の絶版を防ぐという目的もあるそうです。

昨年の15周年を記念して今年、動物画家でもある故・薮内正幸氏の原画展と、息子で薮内正幸美術館長をつとめる藪内竜太氏によるギャラリートークを開催しました(コロナ禍により今年に延期)。
思わず触ってみたくなるような、動物の毛が1本1本リアルに描かれている原画を間近で見ることにより、子どもたちが「本物」に触れることの大切さを感じてほしかったといいます。そのリアル感は原画ならでは。印刷では出せないそうです。
また、「デジタルの世界とは違う“熱量のある丁寧な手仕事”を見ることも大事だと思っています」と片居木さん。

1300冊もの絵本や雑貨が並ぶ絵本コーナー

同店にはカフェコーナーが併設されています。食事をしながらの閲覧は、閲覧専用に用意されている書籍に限ります。また、絵本コーナーのみ、カフェコーナーのみの利用もできます。

  ◆取材を終えて

取材中に、小さなお子さんと一緒に親子3代で来店されたご家族にお会いすることができました。絵本販売のコーナーで目をキラキラと輝かせて絵本を選んでいるお子さん。お子さんが選んだ絵本を、「いいね」と言いながら購入するおばあさま。その様子を見ていて幸せな気持ちになりました。片居木さんは「子どものそばに絵本がある環境をつくることが大切」と話してくれました。

取材日:2021年6月3日
水越初菜