【体験】発見がいっぱい!いろいろな生きものと出合える「北本自然観察公園」

北本市にある「北本自然観察公園」は、総面積33ha、東京ドームに換算して7個分もの広さを誇る公園。雑木林や湿地、池など里山の環境が残されているため、さまざまな鳥や虫が集まるほか、多様な植物も生育しています。特に夏季にはたくさんの虫が見られます。

取材日に北本自然観察公園で見られた虫。エビイロカメムシ、クロコノマチョウの幼虫、テングスケバの幼虫、ノコギリカミキリ
取材日に北本自然観察公園で見られた虫。①エビイロカメムシ②クロコノマチョウの幼虫③テングスケバの幼虫(自然かんさつ会参加者の茂木宏仁さん提供)④ノコギリカミキリ

同公園は、園のビジターセンター「埼玉県自然学習センター」と共に、1992年7月1日にオープン。今年30周年を迎えました。イベントや講座も多く、毎週土・日・祝日の午後2時~3時には「定例自然かんさつ会」が開かれています。参加は無料。当日、同センターで申し込めば、専門知識を持ったガイドと一緒に園内を巡ることができます。

より興味が深まる「定例自然かんさつ会」

今回、定例自然かんさつ会に参加しました。案内してくれるのは、自然学習指導員の早乙女将史さんです。この日の参加者は、子ども2人を含む7人。虫捕り網やカメラを持参している人もいます。「虫は捕まえてもいいですが、後で逃がしてあげましょうね」という早乙女さんからの注意を聞いてからスタートです。

最初のポイントは、「ハゴロモ」という昆虫がよく見られる場所。「ガのように見えますが、セミの仲間です。幼虫もいますよ」と早乙女さん。小さな幼虫に参加者たちはカメラを向けたり、目を凝らしたり。皆さん、興味津々です。

アミガサハゴロモの成虫とハゴロモの仲間の幼虫
アミガサハゴロモの成虫(左)(茂木さん提供)とハゴロモの仲間の幼虫。ハゴロモの仲間の幼虫には、どの種類にも綿毛のようなものが付いているそうです

坂道を上って草原へ。「バッタを探して捕まえてみましょう。水をすくうような形にして両手で挟むといいですよ」とのアドバイスを受け、全員でバッタを追います。しばらくすると、参加者から「捕まえた!」の声が上がりました。

同じ場所に、ハグロトンボが飛んでいました。「警戒心が強いトンボですから捕まえにくいかも。体が緑色なのが雄、黒っぽいのが雌ですよ」。そんなハグロトンボを子どもが上手に捕まえました。みんな集まり、近くでじっくり観察です。

ハグロトンボを手にする子どもと、ショウリョウバッタ
は、ショウリョウバッタ。体の中で最も硬い胸の部分を持つのが良いとのこと。は、捕まえたハグロトンボを手にする子ども

草原を歩いていくと、ところどころに穴が開いている木がありました。「これはエゴノキという木です。幹や葉に穴が開いている木には、虫がいますよ」との言葉通り、クサカゲロウの仲間の幼虫が見つかりました。

クサカゲロウの仲間の幼虫は1cmほどの大きさ
クサカゲロウの仲間の幼虫は1cmほどの大きさ(茂木さん提供)。天敵に狙われないように、背中にゴミを背負ってカモフラージュしています

歩きながら、早乙女さんは「カブトムシは、スズメバチが開けた木の穴から出る樹液をなめています。だから、カブトムシがいるところにはスズメバチもいるんですよ」「バッタとキリギリスの違いは触角の長さ。短いのがバッタ、細長いのがキリギリスです」など、虫の豆知識を次々に教えてくれます。楽しく分かりやすい話に、皆さん、しっかり耳を傾けていました。

定例自然かんさつ会の様子
早乙女さん(右)と参加者の皆さん

ちょうど1時間で自然学習センターへ戻ってきました。皆さん、満足そうな表情で解散となりました。

自然学習センターは、設備工事のため、2022年11月28日(月)から2023年2月28日(火)まで休館しますが、公園は利用できます。また一部のイベントは、休館中も開催予定です。詳しくは、ホームページで確認することができます。

自然学習指導員の祝 璃葉(いわい りは)さんは「8月28日(日)まで、オープン30周年記念のクイズラリーや写真展を開催しています。春には新緑、夏には虫、秋には花、冬には鳥と、四季を通して見どころのある公園です。思い立ったときにいつでも立ち寄ってもらえるといいですね」と話しています。

◆取材を終えて

本文で紹介し切れませんでしたが、他にもたくさんの虫を見ることができました。やはり専門家が一緒だと見逃すことがないようです。なお、定例自然かんさつ会は、雨や雪でも決行するとのこと。晴れの日には出てこない生きものが姿を見せるからだそうで、これぞ“自然観察”です。

取材日:2022年7月23日
矢崎真弓