【越谷】ものづくりや体験が80講座!越谷の技・文化を楽しむ「越谷技博」開催

越谷技博(わざはく。以下「技博」)をご存じですか。「越谷の日常へ旅しよう!」をキャッチフレーズに、ものづくりや体験による交流ができるイベントで、今年で3回目を迎えます。今回は2022年10月1日(土)から10月30日(日)まで越谷市内の各所で約80講座が開かれます。
「技博はまさに越谷らしいイベント。越谷の縮図のよう」と語るのは、同イベントの企画運営を行う井橋潤さん。技博が目指すものと、その魅力を教えてもらいました。

技博の実行委員会を組織する株式会社まちづくり越谷のみなさん。右から2番目が井橋潤さん

「体験」や「学ぶ」機会を越谷の観光資源に

2020年から始まった技博。きっかけは、まちおこしを考える中であがった「越谷って副業や趣味を仕事につなげている人が多いよね」という声だったそう。
「越谷は他のエリアに比べて、人を呼び込める観光資源が少ないんです。レイクタウンや花火などもありますが、越谷に来てよと言う時に紹介できる場所は実はあまり多くない。越谷の魅力を感じてもらい、足を運んでもらえる場や機会を作ろうと始まったのが技博です」
2020年開催の第1回目から100以上の講座が開かれ、地元だけでなく市外からも多くの人が参加したそう。

技博で開催される講座は8つのジャンル(食、旅、音、創、場、知、健、動)からなり、他では体験できないような講座も多いのが特徴。
越谷の伝統工芸を体験できる講座には、「千鳥うちわ工芸」や「越谷だるまの絵付け体験」、また、五月人形の兜(かぶと)や甲冑(かっちゅう)づくりを行う「越谷甲冑」の伝統工芸士が講師の「栴檀(せんだん)キーホルダー作り」などがあります。
「職人はとても多忙なので、職人から直接教わることができる機会はとても貴重です。今後も伝統文化や伝統工芸の講座をもっと増やしたいと考えています」と井橋さん。
他にも、サンバダンス、シャッターアート、津軽三味線など、少し珍しい講座もあります。

シャッターアート講座では、街角のシャッターに絵を描くという珍しい体験ができます

井橋さんは代々続く金物店の8代目であり、越谷新町商店会の会長も務めています。
日光街道の宿場町として栄えた越ヶ谷宿は、昔ながらの蔵や古民家が残る地域。都心へのアクセスが良く移住者も多いのですが、一方で、代々の家業を受け継ぎ暮らす人も多く、「商店会員の店は7代目8代目が当たり前」といいます。

いろいろな技を持った「技人」こそ、越谷の魅力

技博では、講師を務める人を「技人(わざびと)」、受講者を「学人(まなびと)」と呼びます。
技博は市外の人に越谷の魅力を知ってもらい、越谷に来てもらうイベントであると同時に、「実は地元の人への発信でもある」と井橋さんはいいます。
「越谷には、自分の得意や強みを生業につなげている人が多いんです。職人技術や伝統工芸だけでなくハンドメイド作家も多い。地元の人にとっては当たり前となっていますが、それが越谷の魅力でもある。自分たちの日常や可能性を見直すきっかけにもなると思っています」

備長炭で焼く本格せんべい作り体験講座では、代々の家業を継ぐ職人直伝のせんべい焼きに挑戦

みんなの背中をおしたい。「小商い」をサポートしたい

井橋さんには「小商い(こあきない)」をサポートするというキーワードがあるといいます。
「おせっかいかもしれないけど、みんなの背中を押したいんです。自分では気づきにくいかもしれないけど、すてきな技、知識を持っている人は多い。それを育てて仕事にしていくサポートをしていきたいと考えています」

講座には伝統工芸の体験も多数

「まだ走り出して間もないので手探りの部分もありますが、今後技博がどのように形を変えていくのか楽しみ」という井橋さん。技人にとっても学人にとっても、技博が何かを始めるきっかけになれたらうれしいと語ってくれました。

◆取材を終えて

技博には、「越谷の人、歴史、伝統、文化の魅力に気づくきっかけづくりにしたい」、そんな思いがありました。技博のウェブサイトやSNSでは講座ひとつひとつが紹介されていて、見ているだけでもおもしろいです。秋の夜長に、越谷の人や文化に触れてみませんか。

取材日:2022年9月22日
小林聡美