sainews-master 
紅葉や秋の街並みを楽しめるこの時季は、自転車を楽しんでみませんか。
今回紹介するのは、自転車の運動会と文化祭をミックスしたアウトドアイベント「BIKELORE（バイクロア）」。さいたま市桜区の秋ヶ瀬（あきがせ）公園で2日間にわたり行われ、自転車に乗る人も乗らない人も、誰もが参加できるイベントです。今年（2022年）の開催は12月3日（土）、4日（日）。
主催者で一般社団法人BIKELORE代表の松原満作さんにお話をうかがいました。
バイクロアのメインイベントは自転車レースです。公園内に特設されたコースは2㎞ほど。舗装されていないダートコース（土や砂を敷き詰めた走路）を走ります。しかし、競技用自転車でなくても、普通の自転車や“ママチャリ”、子ども乗せ自転車など、どんな自転車でも参加できるのが特徴。子どもからシニアまでいろいろな人がレースに挑戦しています。
さらに、会場にはフードトラック、マーケットブース、ワークショップなどの出店、授乳・オムツ替えスペースや赤ちゃん広場なども備え、レースに参加しない人も楽しめるようになっています。
秋ヶ瀬公園での開催は今年で12回目。回を重ねるごとに、トレイルランニング、クライミングなど他のスポーツ競技や体験も加わっているそうです。また、自転車のロングライド中に使うテントの設営・撤収の速さを競うなど、少し変わったレースも行われています。
秋ヶ瀬公園でのバイクロア初開催を皮切りに、他エリアにも波及し、白州（山梨県）、土浦（茨城県）、堺（大阪府）、仁淀（高知県）などでも開催。地域ごとの特色をつけ、テントやサウナ、音楽イベントなどを開くなど、スポーツミックスイベントとして広がりを見せています。
また、姉妹イベントには、子どもの自転車レース「キッズロア」もあります。
きっかけは、久しぶりに訪れた秋ヶ瀬公園
「秋ヶ瀬公園は、自転車に乗れるようになった小学生頃に初めて遠出した場所だったんです」
もともと自転車が好きで、日本各地に自転車を乗りに出かけていたという松原さんは、地元で何かやりたいと思っていたそう。友人と久しぶりに秋ヶ瀬公園を訪れた際に、「ここで自転車レースをしたい！」と思い立ち、その場で公園管理者にアプローチしたそうです。
「はじめは門前払いでしたが、当時の所長が、10の宿題をクリアしたらレースを開催してもいいと言ってくれたんです。その宿題の一つが、秋ヶ瀬公園の清掃でした」
それから1年半かけて宿題をクリア、第1回目のバイクロア開催に至ります。
以後12年以上、松原さんたちは秋ヶ瀬公園の清掃を続けています。「募集をかけると毎回20～30人が集まってくれます。家族で参加してくれる人もいます」と松原さん。
清掃活動は年に4回実施。秋ヶ瀬公園はとても広く、1回の清掃ではごく限られた場所しかできないため、毎回場所を変えながら清掃エリアを広げているそうです。「不法投棄といたちごっこです。ゴミや廃棄物の量は軽トラック何台分にもなります」」と話す松原さん。少しずつきれいにした場所をトレイル（自然の中の未舗装の小道）として整備。自転車だけでなく、一般の人、野鳥好き、植物好きの人たちが歩きながら楽しめる遊歩道になっているそうです。
目指すは市民参加型オリンピック。誰でも、初めてでもできるスポーツの祭典をしたい
「自転車スポーツには競技やレースのイメージがありますが、バイクロアは誰でも参加できる場にしたい。そして、家族で出かけられるイベントにしたい」といいます。
同イベントのコンセプトは、「だれでも参加できる」「はじめてでもできる」こと。松原さんは、もっといろいろなスポーツが気軽に体験でき、楽しめる環境を目指しています。
「目指すは市民参加型オリンピック。トップアスリートを呼ぶのではない市民参加型のスポーツの祭典を、秋ヶ瀬公園で開けたらいいなと思っています」と話してくれました。
◆取材を終えて 12月のバイクロアに先行し、11月５（土）、６日（日）には子どもたちのレース「キッズロア」が開催されます。ツール・ド・フランスのエキシビジョンマッチ「さいたまクリテリウム」に参加する世界のトップ選手が子どもたちと一緒に自転車で走ってくれる予定だそう。「危機回避を学ぶ自転車教育だけではなく、楽しみながら身に付けていける自転車体験の機会を広げていきたい」という松原さん。 この機会に、自転車のさまざまな楽しみ方を体験してみませんか。 取材日：2022年10月5日 小林聡美