【さいたま】楽しかった記憶「思い出以上の未来がとどく」~タイムカプセル

タイムカプセルというと、どのようなものを想像しますか? 思い出の品やメッセージを、クラスメイトや先生と一緒に大きな入れ物に入れて土の中に埋める、というイメージではありませんか?

株式会社タイムカプセル(さいたま市)では、一人一人の専用缶が用意されています。
同社は思い出の詰まった缶を預かり、開封日まで保管庫で大切に保管します。保管する年数は最長15年まで選べます。幼稚園や保育園の卒園記念で小学校卒業時に、小学校卒業記念で二十歳の集いに開封するといった利用が多いのだとか。
団体でなくても、個人や友人などのグループでも申し込め、配送についても個人宅、皆で集まる場所にまとめてなどいろいろなプランがあります。

タイムカプセル制作の様子。一人一人思いを込めて、自分だけのタイムカプセルを作ります。右は同社代表取締役の浅野敬尚(よしたか)さん

子どもたちの“夢”が詰まったサービスを提供したい

「以前勤めていた会社で、保有する倉庫を使った利用案の募集がありました。子どもたちの希望が詰まった何かを倉庫で保管できたらおもしろいなと考え、タイムカプセルはどうかと調べてみると、土中に埋めたタイムカプセルが見つからない、どこに埋めたのか分からないなどの問題があることがわかりました」と浅野さん。

そこで浅野さんは、思い出がたくさん詰まったタイムカプセルを倉庫で安全に保管できるサービスができたら良いと思い応募しましたが、その時は時代背景もあり、ほかの案が採用されました。
それなら自分でやろうと思ったのが起業のきっかけだったそうです。
「起業した翌年、東日本大震災が起こりました。少しでも復興の支援ができればと、お預かりしたタイムカプセルは、福島県の倉庫で保管しています」。

「思い出以上の未来が届く」。人と人とのつながりを大切に

「タイムカプセルをとおして、思い出をただ届けるだけではなく、ともに制作した仲間との時間を共有することにより、その価値を見直してほしいです」と浅野さん。
タイムカプセル開封を期に、当時の仲間たちと良い関係を続けていってほしい、タイムカプセルに託した夢や希望を見つめなおすきっかけになってほしい。そうした思いが「思い出以上の未来が届く」というコンセプトにつながっています。

タイムカプセル開封式の様子(一例)。当時の担任の先生や仲間たちと旧交を温める機会に

住所変更や開封時の案内状の手配も対応

タイムカプセル開封までの間に、住所変更などがあるかもしれません。その都度それぞれ個人で会社に直接連絡をすれば対応してもらえます。タイムカプセル開封時の案内状も出してくれるので、忘れていても安心です。

「SNSやインターネットが進化してデジタル化が進む世の中ですが、タイムカプセルをあえてアナログのままの形で残していくのが私たちの使命だと思います」と浅野さん。

◆取材を終えて
私はタイムカプセルを作った経験はありませんが、友人は、小学校の時にタイムカプセルを埋めた場所が分からなくなっていて、いまだに見つかっていないといいます。
倉庫で安全に保管してもらえれば安心ですね。楽しかった思い出を未来の自分へ託すなんて素敵だと思いました。

取材日:2023年3月9日
水越初菜