子どもと一緒に藍染め体験 2歳児も楽しめました!(相澤染工場:八潮市)

八潮市にある有限会社 相澤染工場(明治39年創業)は、伝統的な藍染めの技法で、お祭りなどで着るはんてん、はっぴ、のれんなどを製作しています。また、休日限定で藍染め体験も開催。小さな子どもでも、大人の手助け付きで参加することができるので、親子で体験に来る人が多いといいます。

藍染め体験で染めたスカーフ。型紙を使った「型染め」と「筒描き」で絵を描きました

「自分でできた!」 小さな子どもでもできる藍染め体験プログラム

相澤染工場が藍染め体験を始めたのは1年前。そのきっかけを同社の相澤択哉さんに聞きました。
「5歳の子どもからやってみたいと言われたのがきっかけでした。やらせてみたら、意外にもひとりでできる作業があることに気づき、子どもでもできるような体験メニューを準備しました」
実際に体験のプログラムでは、子どもでもわかりやすいよう、丁寧にゆっくりと教えてもらえます。

同染工場の藍染めでは2枚の白地スカーフを染めます。伝統的な技法でスカーフにデザインを写し、藍色に染め上げる工程までを体験することができます。
体験できる技法は「筒描き」と「型染め(型付け)」の2通り。1枚ずつ2つの技法を体験してもよし、2枚同じ技法にしてもよし、と自由に選ぶことができます。

子どもが描く絵でオリジナルデザインのスカーフに

今回体験に挑戦したのは2歳の女の子。1枚目は「筒描き」技法で、自由に絵を描きました。
白いスカーフにペンで書いた下書きの上に、「防染糊(ぼうせんのり)」をのせ、その上におがくずをふりかけます。この部分が染まらずに残る部分になります。
のりをのせていく工程では、はじめは親が子どもの手を持って一緒に線の上をなぞりましたが、後半は子どもだけでニュルニュルと線をなぞっていました。ときどき力を入れすぎて、のりが出すぎたり、下書きの線を大きく外れることもありましたが、「私が自分でやる!」と真剣に取り組んでいました。

お菓子作りでクリームを絞るように、ゆっくりとのりを絞っていきます

伝統的な和柄を含む数十種類の型紙から好みのデザインが選べる

2枚目は、模様が入った型紙を使った「型染め(型付け)」に挑戦。
数十種類ある型紙の中には伝統的な和柄も多く、相澤さんから和柄の由来を教えてもらいながら型を選びました。
ヘラを使ってのりをのせるので、小さい子どもには難しいとのことでしたが、大人がフォローしながらやっていました。

布の上に置いた型紙にヘラでのりをのせます

染める工程は、染料が入った「藍がめ」がある作業場で行います。
スカーフを藍がめに沈めること1分。取り出した直後はまだ薄く、緑や黄色がかった色をしていますが、水が入ったおけで上下に出し入れしながら洗っていると、次第に濃い藍色に変わり、のりをつけたデザインがはっきりと浮かび上がってきます。これで藍染めのできあがりです。

水で濡らして藍がめに沈めます。体験では短時間で染まるよう、一番濃度が濃い染料を使用します

作業場では、足元に藍がめの丸いフタの一部を見ることができました。
染料は代々継ぎ足しながら使っているもの。いくつもある藍がめにはそれぞれ濃度が異なる染料が入っていて、染めるものや染める時間、色の濃淡に応じて使い分けているそうです。
実際に製品づくりをしている工場での藍染め体験なので、藍がめや雰囲気ある作業場も見ることができるのも貴重な体験になったようでした。

藍染め体験を担当した同染工場の相澤さん。スカーフは型染めしたもの

藍染め体験は、スカーフ2枚の藍染めで1名2500円から。

◆取材を終えて

「藍染め初挑戦」という2歳の女の子と、そのお父さん。楽しい体験になったようです。「親が補助したものの、工程のほとんどを子どもが自分でできたことに驚きました」と、お父さんはうれしそうでした。コロナ禍で遠出ができない今こそ、身近な場所で、子どもと一緒に楽しめることを探してみましょう!

取材日:9月12日
小林聡美