【さいたま】ふれあうことが支援につながる 保護犬カフェ「With Vets」

保護犬たちがお出迎え! カフェでふれあうのも支援に 

自由に過ごす保護犬たち

さまざまな理由で保護され、飼い主のいない犬を保護犬と呼びます。さいたま市大宮区にある「With Vets」(ウィズベッツ)は、保護犬とふれあうことができる施設です。入口のドアを開けると、保護犬が一斉に走り寄ってあいさつしてくれます。

利用客は、カフェ内で自由に過ごす保護犬と遊んだり、スタッフの話を聞いたりすることができます。利用できるのは、小学生以上。前日までに予約が必要です。(2021年7月現在)

With Vets 大宮店の中村亜沙美店長にお話をうかがいました。

「さまざまな事情や環境で保護犬になった子(犬)たちですが、どの子もとても個性的です。相性の合う子がいれば、里親の希望を出していただくのはもちろん、カフェに遊びに来ていただくだけでも大歓迎です! 犬を飼いたい方だけではなく、癒しの場としてもご利用いただいています。散歩をボランティアでお願いすることもありますよ」

カフェは犬たちにとって学校のような役割も果たしています。ケガをしている犬、持病のある犬、高齢の犬など、カフェにいる保護犬の中は、過酷な生い立ちの犬が多いとか。人間への恐怖心から、遠くから様子をうかがっている犬たちもいますが、先輩犬を見てスタッフに慣れ、徐々に利用客にも近づけるようになることが多いそうです。

「全くほえない性格の子が、番犬役をしていた子が卒業するとほえ始めたり、仲良くなった子同士で一緒に行動したり、先輩犬たちが新入りの子をサポートしているんです。スタッフが教えることはあまりないんですよ」

保護犬を飼う前に考えたい 命との向き合い方

施設の入り口

中村さんは、With Vets のドッグカフェがオープンした5年前から、保護犬の世話をしてきました。

「動物の治療費は経済的にも大きな負担になりがちです。病気が発覚すると、それを理由に飼育を放棄してしまう飼い主もいます。ここでは、動物病院とNPOが一緒に活動をしていて、専門知識に基づいたケアを速やかにしてあげられます。病院で保護犬となり、こちらにやって来る子もいます」

保護犬の年齢や犬種を指定して引き取ろうとするケースもあり、断ったこともあるとか。保護犬は無料だからと言う理由だけで里親を希望するのではなく、大切にしてあげてほしいと訴えています。

「どのようなペットであっても、命ある生き物であることを忘れず、家族として最期まで真剣に向かい合う覚悟を持つことが必要です。人間も動物も一緒に生活していると絆が生まれます。その絆を大切にしていただきたいと思っています」

◆取材を終えて

 保護犬とふれあうのは初めての体験で、緊張してカフェを訪れましたが、実際に保護犬にあい、抱っこしたり遊んだりしているうちに、うちに連れて帰りたくてたまらなくなりました。動物と暮らすことは、大変な部分もありますが、生まれる絆を感じる喜びにあふれています。犬を飼ってみたい、保護犬について知りたいと思ったら、まずはドッグカフェで触れ合ってみるという方法もあるのだと思いました。 

取材日:2021年6月21日
塚大あいみ