厚みのある葉が愛らしく、初心者でも育てやすい多肉植物。なかでも寒くなると濃いピンク色に染まる“桜吹雪”は、プリプリした葉がまるで桜の花びらのようにみえ、部屋に小さな桜吹雪をひとつおくだけで、寒い冬も明るく過ごせそうです。そこで育て方や特徴を、当麻園芸(埼玉県所沢市)で多肉植物を担当するスタッフの千浦久美子さんに教えてもらいました。
日当たりのいい場所で風通しを良くしてあげれば育つ
太陽の光に照らされ、ビニールの壁を開け放った広い温室には、紅葉したカラフルな多肉植物が並びます。取材に伺ったのは11月。愛らしいピンクの葉を眺めていると、植物でありながらペットのような親近感が湧いてくるから不思議です。初めての栽培でも失敗しないためのポイントを千浦さんに聞きました。
「基本的には、日当たりのいい場所で風通しを良くしてあげれば育ちます。水やりは土が乾いたときのみで、あげすぎないのがポイントです。桜吹雪は南アフリカ産なので、四季のある日本では1月~2月の寒さや長雨を避ければ大丈夫。室内で育てる場合は、窓辺や日当たりのいい場所を選んでください。屋外では、霜が降りるほど寒い時間帯や長雨の時季に鉢を室内や軒下に移してあげたらいいですね」
桜吹雪の育て方と特徴
🌿 水やり 土が乾いた色になったとき
水をあげすぎないのがポイント
🌿 開花 5月~6月 一日花
午後の日当たりのいい数時間のみ
濃いピンク色
🌿 苗 種から苗を育てる
🌿 夏 休眠期 少なめの水やり
🌿 紅葉 秋から冬の寒さで葉がギュッと締まり色が濃くなる
🌿 水やり
土が乾いた色になったとき
水をあげすぎないのがポイント
🌿 開花
5月~6月 一日花
午後の日当たりのいい数時間
濃いピンク色
🌿 苗
種から苗を育てる
🌿 夏
休眠期 少なめの水やり
🌿 紅葉
秋から冬の寒さで葉がギュッと
締まり色が濃くなる
桜吹雪は、5月~6月の日光がたくさん当たる午後の数時間のみ、濃いピンクの花を咲かせます。日照時間が足りないとつぼみのまま咲かないこともあり、開花を発見できたらラッキーだといいます。また多くの多肉植物は、肉厚の葉を切り取って、土に葉押しをして増やすなか、桜吹雪は開花のあとに種がとれ、種から苗を育てます。
丁寧に育てられたグリーンのパワーを感じて
「ここの苗はとてもいいので、地元の人はもちろんのこと遠方からも購入に来られます。こだわりの土も人気で、土壌を知り尽くした担当者が栄養豊富な土を生成し、販売しています。苗にとって重要な水やりは、当麻亮一代表とその家族が、毎日慎重に行っているんです」と千浦さん。
丁寧に育てられたグリーンのパワーを感じつつ、かわいらしいディスプレイは眺めているだけで癒されます。
◆取材を終えて 1代目が温室でシクラメンの販売を始めてから52年。土と苗の良さを誇る当麻園芸は、現在2代目が代表を勤め、親子3代で活躍しています。最近完成した21歳の3代目が手がける温室は、モノトーンの部屋にもよく合う男性好みの多肉植物が並び、おしゃれな空間になっています。先日はこの温室で3組のバンドがライブを開いたそうです。ここはグリーンのエネルギーをたっぷりと感じることができる魅力的な場所でした。 取材日:2021年11月4日 磯崎弓子