【川越】カフェが開く、授業も試験もない「メル学園」~川越メル珈琲

「川越メル珈琲」はコーヒー豆を自家焙煎(ばいせん)し、ネルドリップで丁寧にいれるコーヒーと手作りスイーツの店。器にもこだわり、陶芸家山本直毅(なおき)の器を主に使っています。

川越市役所裏にある川越メル珈琲の外観
川越市役所裏にある川越メル珈琲

店内には書道作品が多数展示。コーヒー教室と書道教室も開催

店内には、書道家でもある同店マスター白橋鐘道(しらはし・しょうどう)さんの作品が多数飾られています。文字の仕事が好きということもあり、書道喫茶のようにしたかったといいます。
月に何度か店内2階スペースで書道教室を開いています。

また、焙煎の教室も開催。「うちは手鍋焙煎をやっていますから、ご家庭にある鍋とカセットコンロなどがあれば焙煎できますよ」と白橋さん。
コーヒーが苦手な人も飲めるようになってもらうのが目標なのだとか。

ネルドリップで丁寧にコーヒーをいれる白橋鐘道マスター
コーヒーをいれる白橋鐘道マスター。ブラックコーヒーが苦手な人のために、コーヒーとミルクがセットになった「ブラック&ホワイト」も

文化祭開催がきっかけ、授業も試験もない学校「川越メル学園」誕生

川越が舞台になったアニメファンも多く訪れる同店。コロナ禍で自粛生活を強いられた2020年、何かおもしろいことができないかと考えた白橋さん。ファンのなかには、音響やカメラが得意な人たちもいて、彼らとそんなことを話すうち、オンラインならば文化祭開催ができるのではないかという話になり、SNSで生配信を行ったそうです。今年(2022年)も開催を検討しているとか。

文化祭をきっかけに「学校」という設定にしようと白橋さんは考えました。「学校に見立てると何でもできるじゃないですか。学校名は『川越メル学園』、ランチは給食だし、書道教室は『書道部』、コーヒー教室は『コーヒー部』、授業と試験がない学校です。遠足へ行くこともあるんですよ」と白橋さん。

安らぎのひとときを過ごしてほしい

開店当初、店名をどうしようかと悩んだ白橋夫妻。争いごとのない平和な世界観のなかで生きたいという考えから、「川越ホッと珈琲」と名付けようと思ったそうです。そんなときふと、所持していた羊の抱き枕「メルくん」が頭に浮かんだそう。いつも寝ているような平和な姿が夫妻の癒やしだったといいます。

結局、「おいしいコーヒーとケーキで、訪れる人に安らぎのひとときを過ごしてほしい」という思いから「川越メル珈琲」という店名にしたそうです。
モーニングセットは開店~午前10時まで。日替わりランチは月~水曜。木、金は定休。

店内には白橋さんによる書道のポストカードが各所に。右の写真は店名の由来となった羊の抱き枕・メルくん。今やメル学園の学園長なのだとか
店内には白橋さんによる書道のポストカードが。は店名の由来となったメルくん。今やメル学園の学園長なのだとか
◆取材を終えて

SNSでメル学園のことや遠足などを拝見するたびに、メル珈琲と学園の関係が気になっていました。
マスター夫妻と店全体に、メルくんに象徴されるような優しい空気を感じました。川越の街を歩き、帰ってきたら給食を食べるという“遠足”が時々開催されるそうなので、一度参加してみたいです。

取材日:2022年4月6日
水越初菜