18歳成年。親として注意することは?

お子さんのご成人、おめでとうございます。
とはいっても、昨年から、成年年齢が18歳に引き下げられ、「ちょっと混乱気味」という親御さんも少なくないのでは。高校では対応した授業が始まっていますが、その様子は、親には見えにくいですよね。そこで学校現場ではどうなのか、埼玉県教育委員会に聞きました。また、18歳成年になってどういうことが変わるのか、知っておくと役立つこともまとめます。

1 「18歳成年」基礎知識
まずは「18歳成年」について基本的なことをまとめます。

成年年齢を18歳に引き下げる理由
投票権年齢や成年年齢など、18歳以上の人たちを大人として扱おう、という大きな流れがあります。世界的にも18歳を大人とするのが主流です。
成年年齢を引き下げることは、18歳、19歳の自己決定権を尊重するもので、その積極的な社会参加への期待がこめられています。

18歳成年で変わること
18歳、19歳は、親の同意がなくてもさまざまな契約ができるようになります。
たとえば、携帯電話を購入する、一人暮らしのためのアパートを借りる、クレジットカードを作る、ローンを組んで自動車を購入する、といったことができるようになります。

18歳成年でも変わらないこと
飲酒、喫煙、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)の年齢制限は20歳のまま変わりません。健康面への影響や非行防止、青少年保護などの観点から従来を維持することとされています。

子どもが成年を迎えることで、親として注意することは? 

未成年者が契約(※)するときは、親などの同意が必要とされ、その同意がない契約は原則として取り消すことができます(未成年者取消権)。
成年になると親の同意がなくても契約できる反面、未成年者取消権は適用されず、契約から生じる責任を果たさなくてはなりません。そのため、保護のなくなった新成人が悪質商法のターゲットになる可能性があります。
そうした消費者トラブルに遭わないためには、未成年のうちから、契約に関する知識を学び、さまざまなルールを知った上で、その契約が必要か、よく検討する力を身につけておくことが重要です。

※契約とは
「売買」「貸借」「雇用」などの、当事者双方の意思表示が合致することによって成立するもので、この合意は口頭でも成立します。

子どもが成年を迎えることで、親として注意することは? 

未成年者が契約(※)するときは、親などの同意が必要とされ、その同意がない契約は原則として取り消すことができます(未成年者取消権)。
成年になると親の同意がなくても契約できる反面、未成年者取消権は適用されず、契約から生じる責任を果たさなくてはなりません。そのため、保護のなくなった新成人が悪質商法のターゲットになる可能性があります。
そうした消費者トラブルに遭わないためには、未成年のうちから、契約に関する知識を学び、さまざまなルールを知った上で、その契約が必要か、よく検討する力を身につけておくことが重要です。

※契約とは
「売買」「貸借」「雇用」などの、当事者双方の意思表示が合致することによって成立するもので、この合意は口頭でも成立します。

 2 高校現場では
埼玉県教育委員会にききました 「高校の現場の対応は?」

 ――18歳で成年となる若い人たちは、より主体的に、健全に毎⽇を送っていくために、どんな知識を⾝につけると良いでしょうか? そのために学校ではどんな対応をしていますか?

埼玉県教育委員会 今、選挙権年齢や成年年齢が18歳に引き下げられるなど、高校生にとって政治や社会がいっそう身近なものになっています。
そんな中、学校教育では、学習内容を人生や社会のあり方と結び付けて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって学び続けることができるよう、授業改善の取り組みなどが行われているところです。

政治的教養をはぐくむ教育(主権者教育)をすべての県立高校でおこなっています。そして、持続可能な社会づくりに向かう社会参画意識をはぐくみ、よりよい社会の実現を視野に、課題を主体的に解決しようとする態度を育成しています。

たとえば、現実の政治的事象について考察を深める話し合い活動や、模擬選挙、模擬議会といった学習活動が行われています。また、選挙管理委員会などの外部機関と連携した活動も行われています。

消費者教育としては、すべての高校生が学ぶ家庭科「家庭基礎」や「家庭総合」で、消費者の権利と責任を自覚して行動ができるよう、消費生活の現状と課題、消費行動における意思決定や契約の重要性、消費者保護の仕組みについて学んでいます。
学校と消費生活支援センターをオンラインで結び、生徒が身近に起きている消費者トラブルについて、直接相談する授業などもおこなっています。

また、すべての高校生が学ぶ公民科「公共」(※)で、自立した主体としてよりよい社会の形成に参画することに向けて、消費者の権利と責任について、法や規範の意義などと関連させて学習しています。
※公民科「公共」=2022年度から高校で始まった新しい科目。将来の社会参画を見すえて、社会の仕組みを主体的に学習し能力を育成するもの

具体的には、消費者基本法や消費者契約法などを踏まえ、消費者に関する問題を取り上げ、消費者契約を扱っています。その中で、契約自由の原則のほか、クーリングオフ制度や未成年者取消権などに関してもふれています。

その上で各学校では、国が作成した、成年年齢引下げに伴う留意点をまとめた高校生向けリーフレット等を活用し、指導しています。
埼玉県教育委員会では、令和元年度から、その指導にあたる教員を対象に「成年年齢引き下げに関する研修会」を実施するなどの取り組みも行ってきました。

――自立していく新成年たちを、周りはどうサポートしていけば良いでしょうか。

埼玉県教育委員会 成年年齢引き下げに関する対応について、各学校に対して以下のような情報を提供しています。

・高校生が成年年齢引き下げによって懸念されるトラブルに巻き込まれず、責任ある行動がとれるよう、法務省作成「成年年齢引き下げに向けた高校生向けリーフレット」を活用するなどして、生徒に指導していくこと。

・埼玉県消費生活支援センター(川口、熊谷)や消費者ホットライン「188」等、消費者トラブルに関する相談窓口を、生徒に周知していくこと。

3 契約によってトラブルに巻き込まれたら

消費者トラブルに巻き込まれたり、困ったことが起きたときには、一人で悩まず、次のような窓口に相談を。

○消費者ホットライン「188(いやや!)」
地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内
*相談窓口につながった時点から、通話料が発生します(相談は無料)。

○法テラス(日本司法支援センター)
法的トラブルの解決に役立つ法制度や相談窓口を無料で紹介します(通話料は発生)。
0570-078374(IP電話からは:03-6745-5600)
【平日】午前9時~午後9時 【土曜日】午前9時~午後5時 ※祝日・年末年始除く。

参考:政府広報オンライン「成年年齢引下げ」

編集後記

20歳から大人——ずっとそう思っていた私たち。18歳のわが子が「成年」と言われても、なかなか意識が切り替えられないのではないでしょうか。

当事者の子どもたちもそうでしょう。いきなり、「18歳のあなたは、もう成年なんだからしっかりしなさい」と言われても、あいまいな返事しかできないのも無理はありません。

この機会に「公共っていう新しい科目ができたみたいね。何を教わっているの?」「模擬選挙ってやったことある?」「消費生活支援センターって教わった?」など、学校での活動を聞いてみて、親子で話してみたらどうでしょうか? 「うちの子、普段こんなこと考えていたのね」。そんな発見があるかもしれません。

それから、親御さんたちへ。
子どもが主体的に社会の一人としての意識を持てるよう、消費者トラブルなどに巻き込まれることのないよう、見守りたいですね。
そして、わが子を成年まで育て上げた自分をねぎらってください。
改めて、お子さんのご成年、おめでとうございます。

彩ニュース編集部
綿貫和美