紫外線を防いで快適に過ごすには?紫外線対策ブランド「エポカル」に聞く

体感温度が上がり太陽が輝く日が増えてくると、気になるのが紫外線。どうしたら紫外線を気にせず、外で過ごせるのでしょうか? 紫外線対策ウエアを専門に企画、販売している「株式会社ピーカブー」代表取締役・ブランドプロデューサーの松成紀公子(まつなり・きくこ)さんと広報担当の佐藤一枝(さとう・かづえ)さんに、紫外線の特性や日焼け対策についてお話を伺いました。
株式会社ピーカブーでは、「エポカル」というブランド名で紫外線対策ウエアやグッズを販売しています。代表的な商品は、着るだけで紫外線を99%防げる「UVカットパーフェクトパーカー」です。日焼け止め剤を塗らなくても、羽織るだけで対策ができます。(以下敬称略)

松成さん(左)と佐藤さん。株式会社ピーカブーが入居する「和光理研インキュベーションプラザ」(和光市)にて

日焼けが病気の元になる?紫外線について知ろう

――紫外線とはいったい何でしょうか?太陽光のことですか?

松成 紫外線とは、太陽光の一部です。太陽光は紫外線以外に、赤外線やX線など、波長によって分けられます(※下図)。
紫外線はA波、B波、C波で構成されているのですが、空から降り注ぎ、私たちの肌に影響を及ぼしているのがA波とB波です。C波は地球を取り囲むオゾン層によってすべて吸収されるので、地表に届きません。B波もオゾン層にほぼ吸収されますが、残りが地表に到達。地球温暖化が進めばオゾン層が破壊されてしまうので、C波とB波もそのまま地上に降り注ぐようになってしまう可能性があります。

紫外線の種類と特徴(紫外線.comより引用)

健康のために日光浴をするなら、紫外線対策をした上で、時間帯を考えて行うのがおすすめです。日光浴は、体内でのビタミンD生成を促します。骨を強くする働きがある栄養素ですね。紫外線を顔や手に1日15分間程度、短時間で大丈夫ですよ。

――紫外線を浴びると、どのような問題がありますか?

松成 日本人の日焼けタイプは、大きく分けて3パターンに分けられると言われています。

日本人の日焼け3タイプ
① 色白で、日焼けして赤くなってもあまり黒くならない
② 日焼けして、赤くなりやがて黒くなる
③ 日焼けしても、赤くならずにすぐに黒くなる

あなたはどれに当てはまりますか? 肌が黒く変化するかどうかは、紫外線に対応する「メラニン色素」の多さと関係があります。

③のタイプは、①のタイプより紫外線に強いと言えますね。①のタイプは、紫外線に対する耐性が低いので、より徹底した紫外線対策を行いましょう。肌が赤くなっているのは、やけどをして炎症を起こしている状態と同じです。中にはひどい水ぶくれができてしまう方もいます。

皮膚の細胞は傷ついた場所を治そうとしますが、何らかの理由で失敗し、皮膚がんを引き起こしてしまうこともあるんです。無防備に紫外線を浴びても良いことはありません。

自分に合った紫外線対策をしよう

――紫外線対策は、日焼け止めを塗れば良いでしょうか?日焼け止めの効果的な使い方はありますか?

松成 日焼け止めや日傘などのアイテムはもちろん有効です。UV効果があると表示されている商品を利用しましょう。
日焼け止めに表示されている効果(SPF30PA++などの表記)を確実に得るためには、3つポイントがあります。

日焼け止めの効果を高める塗り方
① 厚塗りだと思うくらい、ムラなくたっぷりと塗る
② 浸透する時間を考えて、外に出る20分ほど前に塗る
③ こまめに塗り直す。何かにこすれたり、時間が経ったりしたら、しっかり塗り重ねる

面倒かもしれませんが、効果を得るにはここまでする必要があります。

ちなみに、SPF(紫外線B波を防ぐ効果指数)については、SPF30以上の数値であれば効果に大きな差はありません。もちろん、数値が高ければ高いほど、効果も大きくなりますが、SPF30を超えると効果の上昇率はゆるやかになります。

SPF50なら絶対に日焼けしない、というわけではなく、塗り方のポイントを抑えることが大切です。

――日焼け止めをしっかり塗りたくても塗れない人はどうすれば良いでしょうか?

松成 皮膚が弱かったり、アトピーなどで悩んでいたりするなら、SPFが低く肌にやさしい成分の日焼け止めを塗りましょう。

UVカット効果のある衣類などを着て防ぐこともできます。当社では、着用するだけで紫外線を99%防げるウエアや帽子を製作しています。布地にUV防止剤を吹き付ける方法ではなく、UVカット効果のある酸化チタンを練り込んだ素材を使っているので、洗濯を繰り返しても効果が持続します。

佐藤 松成の子どもがアトピーで、医師から紫外線対策をするよう指示されたことが、すべての始まりでした。

松成 日焼け止めではなく、別の方法で紫外線から守ってあげたいと思い、会社を立ち上げ、パーカーを製作したのがきっかけなんですよ。日焼け止めを塗るのに抵抗があるなら、UVカット効果のある衣服を着るのが手軽でおすすめです。

エポカルの商品と着用イメージ。右はUV完全遮蔽の防護服

色素性乾皮症など、日光に当たると体に大きな影響が出てしまう人向けに、UV完全遮蔽の防護服も作成しました。外出だけではなく、運動会などの大事なイベントに出られるサポートになると嬉しいです。将来の肌や眼の健康のためにも、自分に合った紫外線対策をして、毎日を元気に楽しく過ごしていただきたいです。

子どもにも紫外線対策を!エポカルの子どもを守る通学帽

――幼稚園や学校で日焼け止めを自分で塗るのは難しいですね。子どもの紫外線対策でできることはありますか?

松成 小さい子どもには、自分で着用できるUVウエアと帽子がおすすめです。エポカルの一部の生地は、オーストラリアの政府機関(ARPANSA)の企業認証を受けています。オーストラリアはとにかく紫外線の強い国。紫外線対策を徹底的に行っています。子どもは帽子をかぶらなければ外で遊べません。日本ではどうでしょうか。小学生は炎天下でも、長い距離を歩いて登下校していますね。通学路の交通安全はもちろん、熱中症、紫外線からも身を守る必要があります。エポカルでは、新しい制帽を考案し、さまざまな危険から小学生を守る帽子を作りました。

和光市の小学校で採用されたエポカルの通学帽。1つの帽子で3通りにかぶれます

簡易的なヘルメットを内蔵すれば、多少の衝撃も緩和できます。子どもたちが取り入れやすいかどうかは、保護者にとっても大切です。快適に楽しく通学するお手伝いになればと思います。

◆取材を終えて

取材中、紫外線で色が変わるファスナートップをお借りしました。外では完全に変色し、濃い紫色になりました。
窓から遠ざかっていくにつれ、色は薄くなりますが、部屋の中まで紫外線が届いているのは明らか!
屋内でさえこの結果ですから、日陰といえども屋外では紫外線対策は必須だと実感。
屋内でもしっかり対策して、過ごしていきたいと思いました。

取材日:2023年6月1日
塚大あいみ