埼玉県秩父市のKEiNA CHICHIBU(以下「ケイナ秩父」)は、1日1組限定のプライベートキャンプが楽しめるキャンプ場です。
立ち上げたのは、秩父出身の今山実穂(いまやま・みほ)さん。家族の都合もあり、現在は東京と秩父の2拠点生活のため、土曜~日曜の週末のみキャンプ場をオープンさせています。
農業を上手に活用。食へのこだわりと自然との関わり方を考える
今山さんは以前から「自然が豊かな秩父で、自然の原体験が表現できる場所をつくりたい」と考えていたそうです。
一方で、人口が減少し続け、後継者不足からくる土地問題にも心を痛めていました。
そうした土地を利用し、一番の課題となっている農業を生かしてビジネスにつなげ、地域おこしができないものかと考えた今山さん。後継者のいない実家の土地を有効活用し、キャンプ場を立ち上げることにしたそうです。
キャンプ場にはカフェも併設されています。カフェのメニューやバーベキューの食材には、今山さんのお母さんが畑でつくった野菜を使います。季節によっては、収穫した旬の野菜でバーベキューやタケノコ掘り体験も楽しめるそうです。地元産の野菜を見て・触って・食べて、より身近に自然を感じてほしいという思いがあるといいます。
宿泊スタイルを一人一人が選べる
1日1組限定を採用したのは「自然の風景などをゆっくりと感じてほしかったから」。プライベート時間を有効に使って、時間を確保してほしいという考えがあったそうです。
宿泊は「持ち込みキャンプ」「レンタルキャンプ」「コテージ泊」3種類のスタイルから選べます。1家族、3世代、大学のサークル仲間、仲良し家族グループなどさまざまな人が訪れているそうです。
すべての人がキャンプを楽しめるように、1人ずつ宿泊スタイルを選べるのも特徴です。たとえば、赤ちゃんがいる家庭では、お母さんと赤ちゃんがコテージ泊、お父さんと大きい子どもは持ち込みキャンプ泊を選ぶこともできます。3世代キャンプでは、おじいちゃんおばあちゃんがコテージ泊、若い人たちがキャンプ泊を楽しむケースが多いそうです。
◆取材を終えて ケイナキャンプ場では、地元産を使うように心がけているそうです。準備されている薪(まき)は秩父の間伐材を、食材は秩父の在来種野菜を使っているとのこと。「なるべく地元のものを循環させていきたいのです」という今山さんの強い思いが感じられました。 近くを流れる川で遊べることや、自由にサイトを走り回ることができる空間は、とても魅力的でした。キャンプ場だけでなく、カフェ空間もおしゃれで落ち着く場所です。自分たちだけのプライベートキャンプで、気兼ねなく思いっきり自然とふれあうのも良いなと思いました。 取材日:2023年7月8日 田部井斗江