【比企地域】多彩な食材をパンで味わう!特産品を生かした「HIKIサンド」

埼玉県の中央に広がる「比企地域」は、東松山市・滑川町・嵐山町・小川町・川島町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・東秩父村の9市町村からなるエリア。最近では、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に、この地域ゆかりの人物が多数登場したことで話題になりました。また、農業が盛んで、さまざまな農産物を生産している地域でもあります。

地域の魅力を発信する取り組みとして

「HIKI(ひき)サンド」は、比企地域の農産物などを使って作られたパンの総称です。地域の魅力発信のため、埼玉県川越比企地域振興センター東松山事務所の呼びかけで始まり、現在、比企地域の18のパン店や飲食店が、オリジナルのパンを自店で販売する方法で参加しています。

同事務所のある東松山市内では、4店が参加。「ぱんあきやま」が“野菜サンド”、「東松山市農林公園丘の上のカフェ Heuvel(フーヴェル)」が“フーヴェルHIKIサンド”、「ベーカリーカフェ あーとの国」が“サイコロサンド”、「手作りパン工房パントピア東松山まるひろ通り店」が“東松山辛みそドック”を提供しています。

左上から時計回りに「野菜サンド」「サイコロサンド」「東松山辛みそドック」と、2022年8月にリニューアルする「フーヴェルHIKIサンド」

形や味はさまざまですが、いずれにも市内産の野菜など地元の食材が使われています。

同事務所の担当課長・早川修さんは「取り組みの開始に当たり、一般の方や飲食のプロの方と一緒に、メニュー開発のワークショップや試食会などを開き、2019年2月にHIKIサンドの定義を決めました」と経緯を話します。

「HIKIサンド」の定義
〇比企地域の産品を使用する
〇比企の魅力や比企らしさを感じさせる工夫がある
〇形態・用途・味わい方は自由

使う食材を全て比企地域産にする必要はなく、1種類でも良いとのこと。また、提供店の中には米粉パンそのものを「HIKIサンド」としているところもあるそうです。

同事務所の地域調整幹・安永陽子さんは「定義を緩くすることで、広がりやすいようにしました。多くの方に知ってもらい、いろいろ召し上がっていただきたいですね」と話しています。

市民の“ソウルフード”をパンに

東松山市内にある提供店の一つ「手作りパン工房パントピア 東松山まるひろ通り店」の店長・高橋 亘さんにお話を聞きました。

は店長の高橋さん。右上はパッケージされた「東松山辛みそドック」。「HIKI」のシールは同店独自で作成したもの。右下は、提供店に配布されるPR用品

「東松山辛みそドックには、市内産の米粉を配合して焼いたパンに、“やきとり”とネギをはさんでいます。この辺りでは、ブタのカシラ肉を焼いて辛みそを付けたものを“やきとり”と呼び、よく食べられています。東松山市のソウルフードですね」と高橋さん。市販の辛みそをベースにしつつ、独自に味を調整し、誰もが食べやすいように仕上げているそうです。「これからも積極的に地元産の旬の野菜や果物を使っていきたいです」と地域への思いを話します。

さまざまなスタイルで比企地域をPRしているHIKIサンド。同事務所ホームページにある「HIKIサンド提供店リーフレット」には、全ての提供店の情報が掲載されています。

◆取材を終えて

「ご当地グルメ」には、ルール(定義)がきっちり決まっているというイメージを持っていたので、HIKIサンドの自由度の高さに少々驚きました。“地域の魅力発信”を第一にするためには、あまり細かなことにこだわらないほうがいいのかもしれません。

取材日:2022年6月16日
矢崎真弓