自転車を安全に楽しむために~サイクリングクラブAMBCOに聞きました

自転車保有率でたびたび全国1位になっている埼玉県。平坦な地形が多く、サイクリングロードが整備された場所も多いので、日々の生活で使用する自転車からスポーツバイクまで、幅広く自転車が楽しめる環境があります。
そして“誰でも気軽に楽しめる自転車“だからこそ大事にしたいのが、「安全に乗ること」です。
今回は、「安全に楽しく走る」をモットーに活動するサイクリングクラブ「AMBCO(アンビコ)」を取材しました。

取材日の朝練メンバーたち。赤や水色のウエアはクラブユニフォーム。取材に応じてくださったのは小野崎さん(左)と、ひげがトレードマークの松永さん(中央)

同クラブは、さいたま市東浦和のサイクルショップ大牧を起点に自転車好きが集まり、1991年に設立。以来30年以上続いています。
活動は毎週日曜の早朝を基本とし、東浦和から見沼自然公園に向かい、見沼田んぼを周回する1周9㎞のコースを2周するといいます。
メンバーは入れ替わりつつ、常時20数名を中心に活動。小学生から80代まで幅広く、世代を超えて自転車を楽しむ人が集まっているとか。
長距離・長時間を走行する耐久レースなど、全国各地で行われるレースにも参加しつつ、さまざまなサイクルイベントのサポートや、埼玉県サイクリング協会からの要請で、さいたまクリテリウムなどのサポートも担っています。

クラブ名のAMBCOは「Al-Mighty Bike Club Ohmaki」のイニシャルをとったもので、スポーツバイクに限らず、どんな自転車でも一緒に走って楽しもうという意味が込められているそう。
メンバーはロードバイク使用者が多いようですが、子ども用自転車、シティサイクル、子ども乗せ自転車など、自分が持っている自転車で誰でも参加できるといいます。

ロードバイクだけじゃない。誰もが安全に自転車を楽しむためのQ&A

AMBCOメンバーには、日本サイクリング協会認定のサイクルリーダーの資格保有者が多く、協会の依頼で、一般向けの自転車講習も開いています。そこで部長の小野崎繁幸さんと松永マリオさんに、安全に自転車を楽しむポイントを聞きました。

――自転車を始めて間もない人に、AMBCOではどんな安全指導をしていますか?

小野崎 うちのクラブがもっとも大事にしているのは、「安全に自転車を楽しむこと」です。自転車を始めて間もない人には、一緒に走行しながら、安全に乗るためのルールやマナーを伝えます。速さを求めるよりも、安全に走行するための声出しや合図の反復練習が基本です。手で合図するだけでなく、「止まります」「右折します」と声に出しながら意思表示しています。それを口頭で教えるだけでなく、一緒に走って、見て覚えてもらいます。

松永 スポーツの基本はルールを守って楽しむことですよね。自転車をスポーツとして楽しむなら、なおさらですし、スポーツバイクに限らず、自転車に乗る人みんなに必要なことです。

朝練時も合図をしっかり確認。これは右折のサイン

――ロードバイクを通学・通勤に利用する学生や社会人も増えています。車道を走る際に特に注意したい点などはありますか?

小野崎 車道を走る際は、車との距離も近いので、ルールを守った走行が自分の命を守ることに直結します。自転車は車と違って自由に走行できるイメージをもつ人もいますが、車と同様に信号を守ることや左側通行は大前提です。これができていないケースが意外に多い。

松永 4月からヘルメット着用が努力義務となりました。ヘルメットの有無が生死を左右することも少なくありません。自分の命を守り、被害を最小限にするためにも、本当にヘルメットは着用してほしいですね。

小野崎 基本ルールが一番大事です。誰もが簡単に出来る基本ルールとマナーは最高の安全確保のツール。ロードバイクも一般的な自転車も、改めて自転車のルールを確認し、安全に自転車を楽しみましょう! 自転車を介して人とのつながりが広がっていったらうれしいです。

<自転車ルール>

○自転車は車道の左側端を通行しましょう
○交差点では、車と同様に信号や一時停止は必ず守りましょう
○飲酒時の自転車運転は禁止です
○スマートフォンを見たり電話しながら、イヤホン・ヘッドフォンをしながらの走行は禁止です
○大人も子どもも、すべての自転車利用者はヘルメットを着用しましょう(努力義務になりました)
○夜間はライトを点灯しましょう
○乗る前に自転車の点検整備をしましょう
○自転車保険に加入しましょう

参考:埼玉県 県民生活部 防犯・交通安全課
自転車に乗るときの基本ルール「自転車安全利用五則」を守りましょうhttps://www.pref.saitama.lg.jp/a0311/jitensya/jitensyagosoku.html

◆取材を終えて

先日、徒歩で横断歩道を渡る時に、横から自転車が猛スピードで通り過ぎていくなど、はっと危険を感じる場面がありました。子ども連れじゃなくてよかったとヒヤッとした瞬間でした。
日常的に子ども乗せ自転車を使用している筆者。今回の取材で、自分の自転車走行だけでなく、徒歩での交通ルールを振り返る機会にもなりました。
子どもを乗せていると、いつもより安全走行にはなりますが、急いでいるときなどは、ついルールがおざなりになりそうな誘惑にかられることも。ただ子どもの命を乗せていると考えると、やはり安全にルールを守る選択に戻れます。
いつでも誰にでも起こりうる交通事故を回避するためにも、そして自転車をもっと快適に楽しむためにも、今一度、みんなで自転車の安全な乗り方を確認しましょう。

取材日:2023年5月21日
小林聡美