腸内環境の改善に注目を集める玄米は、食物繊維やビタミンなどの栄養素が豊富と言われ、玄米食を毎日の生活に取り入れたいという人も少なくないようです。そこで、玄米食を気軽に始められる方法を武蔵野穀販(新座市)店主の佐藤公紀さんに教えていただきました。
米粒は茶色の米ぬかに包まれている
私たちが毎日食べるごはんは稲の実の部分で、収穫時にはその実にもみ殻がついています。それをはがすとひと粒の米が現れ、その米粒は茶色の米ぬかに包まれています。この米ぬかを精米してすべて取り除いたものが白米です。
●白米 米ぬかを全部除去 白い粒・においなし・もちもち柔らかい
●7分つき 米ぬかを7割除去 やや黄色・においは気にならない・白米に近い
●5分つき 米ぬかを5割除去 黄色い・米ぬかのにおいが残る程度・噛み応えあり
●白米
米ぬかを全部除去
白い粒・においなし
もちもち柔らかい
●7分つき
米ぬかを7割除去
やや黄色
においは気にならない
白米に近い
●5分つき
米ぬかを5割除去
黄色い
米ぬかのにおいが残る程度
噛み応えあり
7分づき玄米から始めるのがおススメ
保育園や幼稚園にも7分づき玄米を納入する店主の公紀さんに、その選び方を聞きました。
ここがポイント! 初めての玄米食
・7分づき玄米から始める 白米に近い食感で、米ぬかのにおいも感じない
・米の浸水は一晩おく 白米に比べて浸水しにくいため
・7分づきは白米モード 7分づきと5分づきは白米と同じ炊き方でよい
・米1㎏は約7合 カップの擦り切り方にもよるが、おおよその目安
・7分づき玄米から始める
白米に近い食感で、米ぬかのにおいも
感じない
・米の浸水は一晩おく
白米に比べて浸水しにくいため
・7分づきは白米モード
7分づきと5分づきは白米と同じ
炊き方でよい
・米1㎏は約7合
カップの擦り切り方にもよるが、
おおよその目安
【7分づき玄米炊飯器レシピ】
1. 洗米はボウルに玄米を入れ、たっぷりの水でもみ殻やゴミを取り除く。
再びたっぷりの水を入れ、両手で優しくこすり洗いをする。これを数回繰り返す
2. 浸水は一晩おけば大丈夫
3. 水加減は、玄米の1.2倍から1.8倍の水量(好みで調整)
4. 炊飯は白米モードでスイッチオン
5. 炊きあがり後15分間は蒸らして、しゃもじで軽く全体をほぐす
6. 保温は味が落ちるため、できるだけ短く
「白米と玄米を取り混ぜてもいいです。あまりガチガチに始めない方が長続きすると思います」と公紀さん。そんなお話を聞きながら、玄米1㎏を購入。7分つきに精米してもらいました。
冷凍してもおいしく食べられる
主婦として毎日の食卓もあずかる奥さんの圭子さんに取り入れ方を聞いてみました。
おいしく簡単に取り入れる方法
・ひとりで玄米を始める人や多めに炊いた時は、その日のうちに一食ずつ小分けにして冷凍する。
あとからレンジでチンしてもおいしく食べられる
・保温時間が長いと味が落ちるため、なるべく短くする
・献立には秋はサンマや野菜の煮物がおすすめ。昔から日本にあるお惣菜がよく合う
酵素玄米も炊飯器を使えばカンタン
栄養価の高い酵素玄米も炊飯器で簡単に炊けるそうです。
【酵素玄米の炊飯器レシピ】
1. 洗米はボウルに玄米を入れ、たっぷりの水でもみ殻やゴミを取り除く。
再びたっぷりの水を入れ、両手で優しくこすり洗いをする。これを数回繰り返す
2. 浸水は一晩おけば大丈夫
3. 水加減は、玄米の1.2倍から1.8倍の水量(好みで調整)
炊飯器の水量メモリを利用する場合は、規定量より半メモリ多く水を入れる
4. 炊飯前に天然塩を入れる。3合炊飯の場合は小さじ1杯
5. 炊きあがり後15分間は蒸らして、しゃもじで軽く全体をほぐす
6. そのまま保温して4日目にできあがり。その際に1日1回しゃもじでかき混ぜる
「保温によってごはんがもちもちになり、黄色みも濃くなります。2日目、3日目の玄米が食べられないわけじゃないんですよ。日に日に粘度が増して、色味がついていきますから、その変化を食べ比べてみるのもいいですね」と圭子さん。
散歩の途中に立ち寄ってほしい
南北朝・室町時代創建の平林寺。その脇にある陣屋通りに面する店の前には、ベンチが並んでいます。リモートワークの影響か、このところ散歩をする人も増加傾向。店では毎週金・土曜、無添加の玄米おにぎりや酵素玄米おにぎり、自家製あんこの草餅などを手作りし、販売しています。
常連客のなかには体調不良で長い間自宅から出ることができず、「ずっとここに来たかった」といって、うれしそうにおにぎりを購入していく人や、入退院を繰り返しながらも草餅を心待ちにする知人もいます。
「店前のベンチでは、おじいちゃんやおばあちゃんが、偶然居合わせた子どもたちと会話をしている光景をよく見かけます。そんな人と人との交流の場にもなれば良いと思っています。そしてやっぱり『おいしい』『ありがとう』という言葉が至極の楽しみだよね」。そう話す公紀さんの傍らで、奥さんの圭子さんは柔らかい笑顔を見せていました。
◆取材を終えて この10月からは学校も職場も通常生活に戻りつつあります。そうはいっても、長期間の巣ごもり生活ですっかり心と体が重くなってしまった人も多いはず。アナログな私は、簡単にスイッチの切り替えができそうにありません。そんなとき、こんな店が近くにあればきっかけをつくってくれそうです。まずは買い求めた1㎏の玄米を数回に分けて炊飯してみたいと思います。 取材日:2021年10月12日 磯崎弓子