【プラチナ企業】株式会社ISPアカデミー 人とのつながりを大切にした温かみのある職場

働きやすい職場づくりを実践「プラチナ認定企業」

埼玉県では、仕事と家庭の両立を支援するため、多様な働き方実践企業の認定制度を設けています。
彩ニュースでは、3区分された認定ランクの中で最高位の「プラチナ認定企業」を取材し紹介します。
今回は「株式会社ISPアカデミー」です。職業訓練などを手掛ける同社には、どのような働きやすさがあるのでしょうか。川越市にある本社を訪ねました。

#02  株式会社ISPアカデミー
創業:1983 年 
業務内容 : 埼玉県委託の職業訓練(IT・事務・介護)、介護福祉士実務者研修の通信教育、個別指導のビジネススクール、WEB制作、DTPデータ入力など
特徴 : 企業内に託児施設「ISP保育ルームかるがも」併設、ノー残業ウエンズデーの実施、働き続けられる環境づくり など

企業担当者にインタビュー

代表取締役 林 和子さん
取締役   田畑恵美さん

代表取締役 林 和子さん
取締役   田畑恵美さん

代表取締役の林 和子さんと、取締役の田畑恵美さんに、職場づくりや会社の考え方について伺いました。(以下敬称略)

代表取締役の林さん(左)と取締役の田畑さん

誰もが無理なく働き続けられるよう、柔軟に対応

――どうして企業内に託児施設を併設したのですか。

林 仕事の経験を重ねた社員に、出産後もずっと勤めてもらいたいと思ったからです。平成22年に現在のビルを購入し、移転したタイミングで整備しました。対象年齢は、0歳から小学校入学前までです。外部からは預かっていませんが、職業訓練生のお子さんは利用することができます。

田畑 社員の場合、例えば「普段、子どもは他の保育所に通っているが、今日はぐずっていて少し心配」といったことがあれば、その日だけでも託児施設で受け入れています。同じ建物内なので様子を見に行くことができ、親も子も安心です。小学校入学までの数年を会社で少しでもカバーできればと思っています。

企業内託児施設「ISP保育ルームかるがも」では、経験豊富な保育士が一人一人に丁寧に接しています。右下は、子どもたちの様子を保護者に伝える「かるがもだより」(毎月発行)

――「ノー残業ウエンズデー」について教えてください。

田畑 週の真ん中なので、早く帰宅してリフレッシュできるように設けてみました。でも、皆さん、水曜日に限らず、残業をしないで定時に帰っていますね(笑)。

林 特にこちらから「残業なし」と言わなくても、その日にやるべきことが頭に入っていて、目標を立てて仕事をしている人が多いです。それぞれの経験の中で、身に付けてきたものなのでしょうね。時間内に仕事を終わらせることが、プライドでもあると思います。その姿勢に、私が学ばせてもらっているくらいで、本当に人に恵まれたと感じています。

――その他、職場環境づくりで工夫していることはありますか。

 社員の家族に看病や介護が必要になったときなどは、どうすれば仕事を辞めず両立させることができるのか、一番良い方法を一緒に考えています。

――具体的には時短勤務や在宅勤務などですか。

田畑 そうですね。マニュアル的な対応ではなく、社員からよく話を聞き、その人に合った働き方で仕事を続けられるようにしています。

林 たとえ辞めることになっても付き合いは途切れませんし、ある程度落ち着いたら戻ってきてくれる人もいます。私は「社員は家族」だと思っているんです。大変なことがあったときは「一緒に乗り越えましょう」という気持ちですね。

――貴社の強みを教えてください。

 職業訓練でIT系のインストラクターをしている社員が、弊社の事業の一つであるWEB制作にも関わっているので、今どんなものが求められているのか、最新のニーズを的確にとらえることができます。そして、実践で得た情報をインストラクターとして職業訓練のカリキュラムに加え、即戦力となる人材の育成に役立てています。そうした面からも、時代に合ったWEB制作に力を入れていきたいですね。

社員にインタビュー

相談しやすい職場環境の中、仕事と生活のバランスを取りながら働いています

相談しやすい職場環境の中、仕事と生活のバランスを取りながら働いています

インストラクター兼WEB制作担当 熊谷(くまがい)美智子さん

インストラクター兼WEB制作担当 熊谷(くまがい)美智子さん

プラチナ認定された同社で働く社員の方に入社のきっかけや働きやすさなどを伺いました。

熊谷さんは、国家資格の「第二種情報処理技術者試験(現・基本情報技術者試験)」、日本商工会議所の「日商PC検定1級」など数々の資格を持っています

インストラクターの経験を少しずつ着実に重ねて

――現在、どのようなお仕事をしているのですか。

熊谷 インストラクターとして、IT系講座の基礎・応用・専門コースで教えています。もう一つ、WEB制作ではディレクションを担当し、ホームページの制作などに携わっています。

――IT系の仕事経験は長いのですか。

熊谷 プログラマーとしてメーカーに就職したのが最初です。その後、結婚、出産し、専業主婦をしていましたが、子どもが小学生になった頃、前職を生かしてパソコン教室のインストラクターの仕事を始めました。

――ブランクがあって不安ではなかったですか。

熊谷 IT業界は目まぐるしく変化しますから仕事を再開する前に、しっかり勉強し、当時あったインストラクターの資格なども取得しました。自信を持って教えられるよう、今も勉強を続けています。

―――当時は、どのような働き方をしていたのですか。

熊谷 複数の派遣会社に登録し、企業や大学、職業訓練校に出向いて単発でワードやエクセル、ホームページ作成などの操作を教えていました。子どもが大きくなってからは同じ職種で、派遣社員として企業でのフルタイム勤務に変えました。私が教えた方から「スキルが上がった」「資格が取れた」などと言ってもらえると、やりがいを感じましたね。

積極的に問い合わせ、求人が出ていない職種で採用

――この会社に入社したきっかけを教えてください。

熊谷 今から12年前、不景気のため、派遣社員の契約が終了となり、どうしようかと思っていたときに、弊社の「若葉駅前校」で求人が出ていたんです。ただそれはインストラクターではなく、他の職種だったんですが、問い合わせてみたら、面接をしてもらえて働けることになりました。

面接で自分が話した内容はすっかり忘れてしまいましたが、社長が言ってくださった「あなたに来てもらいたい」という言葉は今もよく覚えています。すごくうれしかったです。

――社長の温かいお人柄が伝わってくるようですね。

熊谷 先輩たちも良い方ばかりで、サポートしてくれたり、丁寧に教えてくれたりしたので、スムーズに職場になじむことができました。

家族もしっかり大切にしながら、仕事に励む

――どんなときに働きやすさを感じますか。

熊谷 社長も取締役も女性なので、プライベートなことなど何でも相談しやすいです。私の担当授業を調整して時間を作っていただいたおかげで、一人暮らしの母の様子を見に行ったり、出産後の娘の手伝いをしたりすることもできました。仕事と生活のバランスを取りながら働けるので、本当に感謝しています。

授業後、勉強のために教室を開放するなど、生徒さんのことも大切にしている会社なので、私も一人一人に寄りそった対応ができます。過去には、生徒に事務的に接するよう、求められる職場もありましたので。

念入りに授業の準備をする熊谷さん

――教える際にどんなことを心掛けていますか。

熊谷 一度に20人に教えますので、“誰も置いていかない”ことを心掛けています。ゆっくり分かりやすく伝え、気軽に質問してもらえるように親しみやすい雰囲気づくりも大切にしていますね。生徒さんの顔を見て、理解できていないかもと思ったら「大丈夫ですか?」と声を掛けることもあります。

職業訓練は就職につなげることを目的にしていますから、常に責任感も持っています。無事に就職して活躍している様子を知ったときが一番うれしいですね。

――今後の抱負を教えてください。

熊谷 WEB制作の仕事で経験したことをどんどん授業で伝えていきたいです。そして、自分自身も勉強をして、さらにスキルを磨いていこうと思っています。

さいたま輝き荻野吟子賞を受賞

●株式会社ISPアカデミー
・川越校(本社)
埼玉県川越市脇田本町24-3 ISPビル
電話 049-247-8608
・若葉駅前校 
埼玉県鶴ヶ島市富士見1-1-8
アーバンヒルズ202
電話 049-271-0008

取材を通して

経営者として、長年第一線で活躍してこられた林社長は、思いのほか、とても謙虚で優しい語り口の方でした。林社長が大切にしているのは、人との縁。30年ほど前、知人から紹介された来日したばかりの外国人を自宅に泊めるなどしてもてなし、「お母さん」と慕われるまでに。その後も付き合いは続き、今では良いビジネスパートナーになっているそうです。

2021年3月、ISPアカデミーは「第16回さいたま輝き荻野吟子賞(いきいき職場部門)」を受賞。この賞は、男女共同参画の推進に顕著な功績のあった個人や団体、事業所に贈られるもので、「女性の働きやすい職場づくり」など、同社のさまざまな取り組みが認められ、受賞となりました。

保育士資格を生かして「ISP保育ルームかるがも」の設立にも尽力した田畑さん、インストラクターの仕事を追求し、周囲から厚い信頼を得ている熊谷さん。実際、同社には自分の力を発揮しながら生き生きと働く女性たちの姿がありました。

取材日:2021年10月20日
矢崎真弓