【飯能】アーティストたちが創る シェアアトリエ「AKAI Factory」

西武池袋線飯能駅からすぐ、住宅街の一角にたたずむシェアアトリエ「AKAI Factory」(アカイファクトリー。赤井恒平代表)。築80年の金属加工工場が生まれ変わった、作家たちの集うシェアアトリエです。

金属加工工場は赤井製作所のものでした。同製作所は戦時中、赤井さんの祖父が飯能へ疎開をしたことから設立。2013年の工場移転により空き工場になってしまいました。

建て替えをせずそのままの建物を、何か面白いことに使えないかなと考えた赤井さんは、作業場・アトリエとして貸し出そうと思い立ちました。早速募集をしてみると、オープン前にも関わらず、あっという間に借り手で埋まってしまったそうです。

代表の赤井恒平さん=AKAI Factory前で

作家が自由にリノベーション

赤井さんは、同アトリエオープン前に電気工事を施したうえで、建物の基礎を壊さないという条件のもと、内装はアーティストらの好きなようにしてもらいました。
はじめはワンルームでしたが、壁が立ち、仕切りができていきました。1階はショップやギャラリー、2階には3部屋のアトリエができあがり、2016年にオープンしました。

そうしたユニークな取り組みが評価され、同ファクトリーは2020年、埼玉県主催の「商店街等リノベーション事業」最優秀賞を受賞しました。

はじめの3年間は1階にカフェも併設していました。居心地よく、訪れる人を癒していたようです。「今後カフェをやりたいというアーティストが現れれば、カフェができることもあるかもしれませんね」と赤井さん。

ショップの様子。すべて同ファクトリーで制作した作品を販売しています

スペシャルコーヒーの自家焙煎店も入居

店内入口を入ってすぐの場所では同ファクトリーアーティストの近藤光さんが、ふるさと納税の返礼品にもなっている「天覧山珈琲」の焙煎(ばいせん)をしています。併設のショップでコーヒー豆やドリップコーヒーなどの購入もできます。

近藤光さん。地元の人をはじめ、広く愛されている「天覧山珈琲」

現在入居中の8名のアーティストのほとんどは、作品制作を本業としています。作品は1階ショップのほか、同ファクトリーのオンラインショップでも見ることができます。

アーティストの中には、作品制作のため飯能へ移住してきた人もいます。
「都内にこだわらず、比較的生活費が安価な埼玉県で、自分の好きなことをやりたいと、飯能へ移住してくることが、近年特に若い人に多いですね」と赤井さん。
同ファクトリーは飯能への移住の入口になっているようです。

◆取材を終えて

入居しているアーティストが好きなように使っているという言葉どおり、個性あふれる空間が広がっていました。赤井さんは、それぞれが想定外の使い方を提案してくるのが面白いと話してくれました。
春と秋には併設のギャラリーで展示会も行うそうなので楽しみです。コロナ禍で学園祭が中止になってしまった美大生の発表の場にもなっているそうです。

取材日:2022年1月18日
水越初菜