いろいろな意味、いろいろな表現

日本に生まれ育ち、日本語を話し、日本語で文章を書く仕事をしていますが、日本語って難しいなとつくづく思います。例えば、肯定にも否定にも使われる「結構」という言葉。「セールスの電話を受け、断るつもりで『結構です』と答えたら、相手が(あえて)“OK”の意味にとらえて商品を送ってきた」という話を聞いたことがあります。「必要ありません」「買いません」とはっきり伝えるほうが安全だというわけです。

以前、私はある媒体で、成人式の会場に集まった新成人にランダムにインタビューをする仕事をしました。一人の男性に「お話を伺えますか」と声を掛けたところ、「大丈夫です」と答えてくれたので、質問しようとすると、再び「大丈夫です」と一言。つまり、NGの意味だったのです。その後、何人もの新成人から「大丈夫」と言われて、インタビューを断られました。

文章を書く際に悩むことも多いです。「おもむろに」や「煮詰まる」など、本来とは違う意味でとらえられるようになった表現は使わないほうがいいかなと考えますし、承諾·了承·承認など似たような意味の単語の使い分けは、調べて間違いのないようにしています。

余談ですが、日本語は難しいと感じるとき、いつも日本語学校の先生はどうしているのだろうと思います。生徒からのさまざまな質問にどう答えているのか、機会があれば聞いてみたいです。

相手に誤解されない日本語を話し、読む人に伝わりやすい文章を書くこと。これはライターはもちろん、日本で暮らす誰にとっても大切なことではないかなと思っています。

2022年2月
彩ニュース編集部