【プラチナ企業】株式会社アジェクト 安定した環境で柔軟性のある働き方を

働きやすい職場づくりを実践「プラチナ認定企業」

埼玉県では、仕事と家庭の両立を支援するため、多様な働き方実践企業の認定制度を設けています。
彩ニュースでは、3区分された認定ランクの中で最高位の「プラチナ認定企業」を取材し紹介します。
今回は、運送会社「株式会社アジェクト」です。昨年採用した30名を加え、現在80名のドライバーが働く同社は、どんな企業なのでしょうか。戸田市にある本社を訪ねました。

♯04  株式会社アジェクト
創業:2007年
業務内容 : 大手運送会社の主要センターから集配所等への荷物配送、製造元から販売店への弁当・食材等の配送、チャーター(貸切)便・スポット(臨時)配送など
特徴 : ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方の推進、意見を伝えやすい職場環境、女性ドライバーの積極採用、福利厚生の充実など

企業担当者にインタビュー

代表取締役 青木浩二さん

代表取締役 青木浩二さん

代表取締役の青木浩二さんに、同社の特長や職場環境などについて伺いました。(以下敬称略)

かつてドライバーだった青木社長。「荷物を運んだ先で『ありがとう』と言われるとやりがいを感じ、次への活力になりましたね」

一人一人が自分に合った仕事ができるように

――働きやすい環境づくりのためにどのようなことをしていますか。

青木 人はそれぞれ家庭環境などが違いますから、働き方も一律ではないと思っています。弊社は、365日、昼も夜も稼働していますので、どの時間帯のどの仕事なら無理なく働くことができるのか、一人一人にヒアリングをし、少しでもその人に合った働き方ができるようにしています。月6日休みや週休2日など、休みの取り方も本人に選んでもらっていますね。

一方、取引先に対しては、従業員にとって働きやすい仕事内容や時間帯を提案するなどして仕事の幅を広げています。

――さまざまな仕事を用意して選べるようにしているのですね。女性ドライバーも増えていますか。

青木 現在ドライバー80名中、女性は8名です。同業他社に比べて多い方だと思います。荷物の積み下ろしは、カゴ車(キャスター付きのボックス)を使っているので楽ですし、そもそも重く感じるかどうかは個人の感覚ですから、性別で分けて考えることはしていません。ただ、まだまだ男性中心の業界なので、女性としての観点等を生かしてもらえるとお客様への印象も良いと思っています。

女性に限らず、未経験からドライバーを目指す人には、「職場体験」を勧めています。トラックの助手席に乗って実際の仕事現場を見に行き、本人にできそうかどうかを判断してもらっています。せっかくご縁があって来ていただいたのに、入社後1、2日で「できない」となるのは、残念ですからね。

――御社は固定給制とのことですが、この業界としては珍しいのですか。

青木 そうですね。運送業界は、一配送いくらという歩合制のところがほとんどで、多くのドライバーが“自分のために仕事をしている”という状態です。弊社は固定給のためか、従業員は“アジェクトが受けた仕事をみんなでシェアしている”という感覚を持っています。個人ではなく、会社全体の仕事としてとらえているので、従業員同士が自然にフォローし合っていますね。固定給といっても、もちろん残業代などは別ですよ。

社長室には、プラチナ認定企業の認定書のほか、「埼玉県SDGsパートナー」などいくつもの証書が並んでいます

――社内には、上司に意見や相談をしやすい雰囲気があるそうですね。

青木 私は事務所内で仕事をしていることが多く、日々ドライバーと顔を合わせます。また管理職兼ドライバーは、現場で意見などを聴く機会が多いです。出された意見に素早く対応するためにも、ミーティングなどかしこまった場でなく、日常的に思っていることを話してもらえるようにしています。

――今後の抱負を教えてください。

青木 国籍や性別にかかわらず、また運転に支障がなければ障がいがある人も雇用していくことを考えています。現在、運送業界はデジタル化などの面で後れをとっているように感じますが、やり方次第ではまだまだ盛り上がり、成長できる業界です。それを楽しみにする一方、取り残されないよう、しっかり企業経営をしていきたいと思っています。

社員にインタビュー

収入や休みが決まっているから、気持ちに余裕が生まれます

収入や休みが決まっているから、気持ちに余裕が生まれます

4トン車・リーダー 菅英二さん

4トン車・リーダー 菅英二さん

同社で働くドライバーの方に、入社のきっかけや働きやすさなどを伺いました。

異業種からドライバーに転職した菅さん。大手運送会社の主要センターから集配所への荷物の配送を担当

――ドライバー歴と入社のきっかけを教えてください。

 ドライバーになって10年です。もともと車が好きで、20代のときに大型免許を取得したのですが、仕事に生かすことはありませんでした。でも、50代半ばに差し掛かり、本当に自分のやりたいことをやってみようと思ったので、派遣会社に登録しドライバーの仕事を始めました。

アジェクトに正社員として入社したのは、6年ほど前です。手作業ではなく、カゴ車で荷物の積み下ろしをしている点に引かれたのが、面接を受けたきっかけです。さらに面接で、社長の従業員への思いやりを感じ取れたので、ここなら年を重ねながら働き続けられると思いました。

――どんなときに働きやすさを感じますか。

 給料や勤務時間、休みなどが安定しているので、気持ちに余裕ができるのがいいですね。だから社員同士が自然に助け合うことができるんだと思います。たとえば、主要センターから運ぶ荷物が私の車に積み切れなかったりすると、同僚が「代わりに積んで行くよ」と申し出てくれます。通常、積めない荷物があった場合、空いている車を探すのはクライアントである大手運送会社の方の仕事になるのですが、私たちは社員間で協力し合っていますから、手間をかけることがありません。クライアントにも好印象を持っていただけるのではと思います。

常に最新の安全装置の付いたトラックを与えてもらえるのも、うれしいですね。車好きとしては、新しい車に乗れること自体がありがたいです(笑)。オーディオ機器もすべてそろっています。

――今後、どのように働いていきたいですか。

 そろそろ高齢ドライバーに仲間入りしますが、仕事量を減らすなどしながら楽しく働いていきたいです。きっと私に合った仕事をさせてもらえると思うので、その点は安心しています。

在宅ワークや子ども連れの出勤もでき、安心して働けます

在宅ワークや子ども連れの出勤もでき、安心して働けます

事務 市川美歩さん

事務 市川美歩さん

子育てと両立させながら、パート社員として働いている方に入社のきっかけや働きやすさなどを伺いました。

市川さんは、受領書の仕分けや請求書の発行などを担当。2児(小学1年生・年中)の母

――入社のきっかけを教えてください。

市川 3年ほど前、求人広告で「子育て世代の人も働きやすい」とうたっていたので、面接を受けました。当時、下の子は保育園の“慣らし保育”から始める状態で、慣れるまでにどれくらいかかるのか分かりませんでした。面接でそのことを伝えると、落ち着いてから仕事を始めればいいということを言っていただき、採用してもらえました。その時点でとても安心できましたね。

――広告に書いてあったとおりだったんですね。どんなときに働きやすさを感じますか。

市川 最近の話で言えば、コロナ禍で保育園が休園になり、子どもの預け先に困っていたら、社長が「会社に連れて来ていいですよ」と言ってくださったんです。実際に連れて来て、同じように休園になってしまった他の社員の子どもと一緒に遊ばせました。事務所の隅にはおもちゃも置いてありますよ(笑)

午前中は会社に出勤し、午後は帰宅して在宅ワークという働き方もさせてもらっています。上の子の帰宅が早い日に家にいたいと思って社長に相談したら、快く承諾してくださいました。社長が嫌な顔一つせず、話を聞いてくださるので本当にありがたいです。

――ドライバーの方とはどのように接していますか。

市川 コミュニケーションを大切にしたいと思っています。ちょっとした世間話をすることも多く、子育て中のドライバーさんとの会話では、子どもの話題が出ることもありますね。トラックや運行については分からないことも多いですが、ドライバーさんの仕事がスムーズに進むように、少しでも力になれたらいいなと思っています。

――今後、どのように働いていきたいですか。

市川 子どもの成長に伴って、いろいろ状況が変わってくると思いますが、その都度、相談をさせてもらいながら働いていきたいですね。私にとって、これ以上働きやすいところはないかもと思っています。

株式会社アジェクト
埼玉県戸田市氷川町3-10-27
電話 048-291-9578

取材を通して

近年、仕事量が増えていることなどもあり、運送業界は人手不足が続いています。そんな中、働きやすい環境にひれてか「アジェクト」には、昨年約60名の求職者があり、うち30名がドライバーとして入社したとのこと。大勢の入社に伴い、事務仕事が増えたため「事務スタッフも増員された」と、パート社員の市川さんが教えてくれました。

ドライバーの菅さんは自分が働きやすさを感じているため、同業他社で働いていたベテランドライバーの友人を転職先として同社に紹介。入社した友人は、福利厚生が充実していることに驚いていたそうです。

社名の「アジェクト」は、「アオキ プロジェクト」の略語です。同社のホームページには、社名に込めた青木社長の思いが記されています。その中に「~社内外問わず、当社を支援下さる皆様のご用命をできる限り形にし~」とありました。ここには、クライアントだけではなく“社内”にもしっかり目を向けて対応するという、社長の意思が示されています。

取材日:2021年1月24日
矢崎真弓