更新される“自分らしさ”

時代が大きく変わり、かつて当たり前のように使われていた「男らしさ」「女らしさ」という言葉は、少なくとも公的な場面ではほとんど見聞きしなくなりました。それに代わるかのように登場し始めたのが、“自分らしさ”や“あなたらしさ”。当「彩ニュース」のコンセプトにも含まれているワードです。

男らしさ・女らしさは、その内容が決まっていましたが、自分らしさはとても流動的です。“過去の自分(その人)らしさ”と“今の自分(その人)らしさ”は、同じであるとは限りません。例えば、以前はおとなしかった人が積極的に前に出て発言するようになったり、大ざっぱな性格で知られていた人が細かなことに神経を使うようになったりするケースは多々あります。もちろん、その逆もあるでしょう。

社会経験の積み重ねや生活環境の変化、人・書籍からの影響など、何がきっかけで自分が変化するのか、しないのか、それは誰にも分かりません。場合によっては、自分自身でも戸惑うほど、これまでとは全く違う、いわば“らしくない”自分に出会うことだってあり得ます。でも、それが“今の自分らしさ”です。本人が意外に思うのですから、久しぶりに会った人から、「あなたらしくない」と驚かれるのは無理もないことだといえるでしょう。

自分らしさを自身で決めつけてしまわないほうが、人は自然体で自由でいられるのではないかなと私は思います。簡単なようで、実はつかみにくい自分のこと。だからこそ、追求していく意味があるのかもしれません。

2022年5月
彩ニュース編集部