固定観念にとらわれない若者たち

娘が親の手を離れようとしています。入籍したのです。
コロナ禍ということもあり、披露宴は開かず、ごくごく身内だけの挙式を来春、チャペルで行う予定ですが、それにしても私が結婚式を挙げた昭和の時代と大きく様変わりしていて驚きました。

当時は入籍後、すぐに挙式&披露宴というのが当たり前でした。ウエディング専門雑誌やインターネットもなく、情報のない中、式場のアドバイスを受けながら、招待客の席順を考えたり、案内状を発送したり、披露宴会場の入場時に流す音楽をカセットテープに録音したり(⁉ 今から考えると古いですよね)、その準備に追われているうちに当日を迎えた気がします。
その忙しさは結構なストレスで、けんかになってしまったカップルの話もしばしば聞かれました。

でも今の若い人たちは違いますね。少なくとも、私たち世代のように「そういうものだから」とは考えず、自分たちのペースで、無理のない時期を選んで挙げているようです。娘の友人には、入籍して1年後に結婚式を挙げた、という人もいます。
たしかに、お互い仕事をしながら式の準備するのですから、その方が納得のいくものにできるでしょう。

若い人たちは「○○しなければならない」という固定観念にとらわれることなく、地に足を付け、柔軟に慎重にものごとを考えているように感じます。そして結婚式が、人にお披露目するためのものから、自分たちが新たな一歩を踏むための節目に変わったような気もします。これからの長い人生をともに歩いていくのは二人なのですから、それでいいのだと思います。

ところで、式場見学に一緒についていったとき、バージンロードの手前で母親が「ベールダウン」をするのだと聞きました。「ベールダウンって何ですか?」と聞くと、ベールには「邪悪なものから花嫁を守る」という意味があり、「これまであなたを大切に守ってきたけれど、これからは彼と一緒に幸せな人生を歩んでね」という思いを込めて、ベールを花嫁の顔の前に下ろすセレモニーのことをいうのだそうです。

「お母さまが手伝う最後の身支度でもあるんですよ」と言われ、不覚にも涙があふれてきてしまいました。感傷的にならないようにしようと心に決めていたのに――。挙式当日、私の涙腺が今から心配です。

2022年12月
彩ニュース編集部