【地域応援】和楽器で埼玉愛を奏でる若き奏者たち「サイタマティック」

埼玉県出身の4人で活動する和楽器カルテット「サイタマティック」。箏(こと)、三味線、尺八で、伝統的な楽曲はもちろん、新旧ポップスのカバーの他、埼玉各地の文化や名産などをモチーフにしたオリジナルの楽曲を奏でています。「野望は世界へ! でもまずは埼玉ツアーをして県内の全市町村を制覇したい」という4人。まだ演奏しに行けていない市町村を回りたいと熱い思いを語ってくれました。

埼玉ポーズで。(左上から時計回りに)三味線の田辺明さん(小川町出身)、箏・二十五絃箏の吉葉景子さん(鶴ヶ島市出身)、尺八の柴香山さん(しば・こうざん。さいたま市出身)、箏・十七絃の神谷舞さん(蓮田市出身)

※上の画像をクリックすると彩ニュースチャンネルで曲を試聴できます。

埼玉出身&埼玉で活動する4人が奏でる和楽器

メンバーは、田辺明さん、吉葉景子さん、柴香山さん、神谷舞さん。2015年の結成以来、埼玉県内を中心にイベントやコンサートで演奏しています。

和楽器を始めたきっかけはメンバーによってもさまざま。母親が箏の師範だったという吉葉さんは幼少期から和楽器にふれていましたが、他のメンバーが和楽器を始めたのは10代~20代にかけてだそう。田辺さんは大学の和楽器サークルで三味線を始め、柴さんはクラシックピアノで進んだ音楽大学で尺八に出合ったそうです。神谷さんは高校の箏曲部がきっかけ。「埼玉県は箏の部活が活発で、全国大会でも強豪が多いんです」と教えてくれました。

左から、低音の十七絃(じゅうしちげん)、一般的な箏・十三絃(じゅうさんげん)、30年程前に誕生した新しい箏・二十五絃箏(にじゅうごげんそう)、三味線、尺八
(左から)低音の十七絃(じゅうしちげん)、一般的な箏・十三絃(じゅうさんげん)、30年程前に誕生した新しい箏・二十五絃箏(にじゅうごげんそう)、三味線、尺八

和楽器はあえて出す“雑音”や余韻が魅力

三味線は「“さわり”と言われる、びや~んという音が味わい深い」と田辺さん。「日本人が心地よいと感じるノイズというか、一音と一音の間に何とも言えないよさがあります」。
他のメンバーも和楽器には「あえて出す雑音が美しく聞こえる」と語ります。
「和楽器の音色は“自然にある音”を表現したものが多いんです。日本人はセミが鳴いたら夏が来たな、夕方になったなと季節や時を感じたり、寺院で砂利を踏んだ音に風情や哀愁を感じたりします。セミがとてもうるさく感じる外国人もいるという話も聞きますが、日本人が雑音と感じない自然の音を表現できるのが和楽器の魅力でもあると思います」

三味線を弾く田辺さん。以前は音楽が苦手だったそうですが、今は作曲も手掛けます
音楽は苦手だったという田辺さん。今は作曲も手掛けます

和楽器は以前より身近なものに?!

以前に比べて和楽器を習う人や和楽器経験者が増えている印象があるという皆さん。その理由の一つに学校の音楽教育に和楽器の選択が増えたことがあるのではないかといいます。実際、サイタマティックも学校の音楽体験としてしばしば呼ばれています。
「音楽の授業で和楽器に興味を持って習いにくる子が増えました。箏がある学校や、自治体の予算で箏をレンタルして体験授業を行うところもあると聞いています」と神谷さん。
和楽器教室には、幼稚園の年中から70代まで、幅広い年代の人が来ているそう。最近は手が小さい子どもでも演奏できるよう、子ども用の和楽器が開発されたりしているとか。

「ストリート箏」で初めての箏体験はいかがですか?

“ストリートピアノ“ならぬ”ストリート箏“。初めての人でも弾けるようにガイドがついています
“ストリートピアノ“ならぬ”ストリート箏“。初めての人でも弾けるようにガイドがついています

現在、大宮アルシェ(大宮駅西口)前に“ストリート箏”が設置されています。なかなか触れることができない箏を体験できる貴重な機会。神谷さんが発案者の一人だそうです。「手引きなども添えているので、初めての人でも弾けると思います。ぜひ遊びに行ってみてください!」

◆取材を終えて

和楽器の音色を聞かせていただいたのですが、何とも言えない心地よさ、哀愁、風情。本当に日本人の感性を刺激する音色に感じました。生で聞く和楽器の音はパソコンなどの電子機器を通して聞く音とは違い、空気の振動を通して、まさに「体感できる音」。みなさんにも、ぜひ生演奏で体感してほしいです。

取材日:2022年4月21日
小林聡美

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