【寄居】大水車がシンボル!3つの日本一を誇る「埼玉県立川の博物館」

敷地内に荒川の支流が流れる「埼玉県立川の博物館」。
川を見て、展示などで学び、アスレチックで遊ぶ。荒川を中心に、「川と水と人々のくらし」をテーマとした、楽しみながら学べる体験型博物館です。

川の博物館のシンボル「大水車」は日本一の大きさ。埼玉県産の西川材で造られています
川の博物館のシンボル「大水車」。埼玉県産の西川材で造られています。入館料は一般410円、学生・高校生200円、中学生以下無料

3つの日本一

川の博物館には、3つの“日本一”があります。

一つ目は大水車。開館当時、直径23mの大きさで造られた大水車は日本一の大きさだと言われていましたが、数年後他県に、それを上回る大きさの水車が建設され、日本一ではなくなってしまいました。しかし、老朽化に伴い2019年に改修工事が行われ、24.2mに。ふたたび日本一の大きさとなりました。

二つ目は日本画家・川合玉堂による大型美術陶板「行く春」。長さ21.6m、高さ5.04mの信楽焼の大陶板には荒川の情景が描かれています。荒川に浮かぶ船車がモチーフです。

三つ目の“日本一”は「荒川大模型173」。荒川の源流域から東京湾まで全長173kmを1000分の1に縮尺した大模型です。荒川沿いの約150カ所の橋や鉄道、ダムなども設置されています。
大模型で橋の位置や形状を確認してから、実際に現地を訪れる人も多いといいます。
「巨人になったつもりで、大模型を上から見て、どんなところを流れているのだろうと感じとってもらうような造りになっています」と話してくれたのは、同館広報担当の若目田葉子さん。

「荒川大模型173」は圧巻。自分が巨人になった気分を味わえます
「荒川大模型173」。解説員による「ガリバーウォーク」は問い合わせを

鉄砲堰の放水実演も目の前で見られる常設展

海なし県と言われる埼玉県。その真ん中を流れる荒川。荒川流域には人類が築いてきた文化財や環境を整えて過ごしてきた歴史があります。
常設展はそんな「荒川の人々のくらしとの関わり」がメインテーマです。

たとえば水車は、主に米の精米やこんにゃく製粉に使われていましたが、一家に1台あったわけではありませんでした。船に水車を乗せ、川の流れを利用し、各地域へ貸し出されていたのだそうです。

常設展では木材を運ぶために使われた木製ダム「鉄砲堰(せき)」の放水実演が見られます。また、物資を輸送する荷船ひき体験もできます(現在はコロナ禍のため、スタッフによる実演)。

「荒川大模型173で地形などを確認してから常設展を見ると、よりわかりやすいですよ」と若目田さん。

アドベンチャーシアターかわせみ号

本館1階には、大画面に連動して座席が動くバーチャルシアター「アドベンチャーシアターカワセミ号」があります。荒川の上流に現れた一粒のしずくと一緒に、荒川やライン下りの旅を楽しめます。荒川の自然や歴史、人々との関わりを知ることができます。

治水、利水の学習ができるウォーターアスレチック「荒川わくわくランド」

荒川わくわくランドは小さな子どもも楽しめるウォーターアスレチックです。
同館オリジナル遊具にチャレンジしながら、水の性質である浮力や水圧などを同時に学べます。

遊びながら水の性質を学べる「荒川わくわくランド」
「荒川わくわくランド」は高校生以上200円、4歳~中学生100円

「川と海はつながっています。川があるから豊かな海がある。海のことも学びながら川のことも知ってもらえれば良いですね」と若目田さん。いろいろなことに興味を持って来館してほしいと話してくれました。

◆取材を終えて

荒川わくわくランド以外にも、川を通して体験したり学んだり、いろいろな楽しみ方があるのだと思いました。夏休みの自由研究のヒントになるかもしれませんね。
同館には川の生き物を観察できる「ミニ水族館」も併設されています。海の生き物とはまた違った生き物に出合えるかも。私は敷地内で数年ぶりに、自然発生したオタマジャクシに出合うことができました。レストハウス1階や外の広場ではお弁当の持ち込みもできます。

取材日:2022年5月24日
水越初菜